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ドラママチ

『ドラママチ』 著:角田光代 (文春文庫)

高円寺、阿佐谷、荻窪。中央線沿線の町を舞台に、満たされぬ思いを胸に抱き、何かを待ち続けて、単調な日々を生きる女たちの心情がつづられた八つの物語。現実の自分に満足できずさまよう八人の女たちの、哀しさと滑稽さに満ちた姿が、様々な町を背景に描かれている。全編を通して流れているのは、欲しいものが必ず手に入るとは限らない、ままならぬ人生の苦さだが、ほのかに見える希望の光が、物語に味わい深い余韻を与えている。

作者インタビュー

著者の角田光代さんは、杉並に住んで20年。生まれも育ちも杉並の編集担当者と中央線沿いの町の喫茶店で打ち合わせ中に、この短編集のアイディアが生まれたとのこと。
「中央線沿いには、個性ある喫茶店がたくさんあるという話から、一話にひとつ喫茶店の登場する小説にしようということになりました。この場で編集者が言った、杉並のすばらしさを全国の人に伝えたいとの熱い一言が忘れられません(笑)。登場する喫茶店は、閉店したところもありますが、みな実在するものです。どこもすてきな店なので、散策しながら探してみて下さい」と角田さん。まさにメイドイン杉並の作品なのだ。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 ゆかりの人々>著名人に聞く 私と杉並>角田光代さん

おすすめポイント

なじみ深い町と個性的な喫茶店が、まるで第二の主人公のように、女たちの物語を彩り、本を片手に登場した場所を散策したい気分にさせてくれる作品だ。平凡な八人の女たちに八通りのドラマがあるように、すれ違う人々にもそれぞれのドラマがある…。そんなことを考えながら見慣れた町を散策すると、いつもと違う風景が見えてくるかもしれない。中央線沿線を愛する女性に、特におすすめの作品。

DATA

  • 取材:村田理恵
  • 掲載日:2012年01月19日
  • 情報更新日:2020年05月04日

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