さりげない活け花や水墨画が、店内に落ち着いた雰囲気を醸し出す。絞り込まれた照明の下、大人がゆったりくつろぐのに格好の店である。
蕎麦粉は時期に応じ産地を厳選。毎朝、電動石臼で甘皮も含め全部荒く挽ききる。その粉の状態や天気を見定めつつ、水回しの水量の微調整をはじめ、細部にまで研ぎ澄ました神経を張り巡らせる。見事な細打ち蕎麦は、こうしたこだわりの素材と、地元荻窪で1966年より蕎麦を打ち続ける職人技とが相まっての賜物。店主の髙橋英夫さんは、荻窪「本むら庵」の厨房を長く預かった後、1991年に独立した。店名「酔蕎」にふさわしく種類豊富な日本酒と手の込んだ一品料理も充実。外の喧噪も時間も忘れ、贅沢なひとときを静かに堪能したい。
・ランチ:990円~、ディナー:平均3,000円