阿佐ケ谷駅北口を出て、旧中杉通りを歩むこと約7分。靴工房nico.は金尾さん、田村さんの二人の女性オーナーによる、オーダー靴と手作り靴教室のショップだ。2006年7月に荻窪にオープン、2011年9月に阿佐谷へ移転。機械の音が漏れないように気を遣い探した場所だと言うが、その佇まいは商店街の中に自然と溶け込み、客も地元から遠方の方まで幅広い。
「靴に足を合わせるのではなく、足に靴を合わせる。」同店の靴作りへの想いはシンプルだ。「靴は洋服と同じく日常生活に欠かせないもの。靴を作ることは生活の一部を手作りすること」と田村さん。とはいえ靴作りは洋服以上にシビア。それだけに注文主との密なやりとりの末、思い通りの靴が出来上がった時の喜びは格別だと言う。
手作り靴教室では、和やかな雰囲気の中にありながら、生徒は真剣な面持ちで靴と向き合う。「教室の良い所は、自らかゆい所に手が届く靴が作れることです。」そう話す金尾さんたちの目も真剣そのもの。そんな二人の情熱に応えてか、ここで作る靴は10足目になるという女生徒も。「楽しいんです、でも全然慣れないですけど。」そう話しながらも、その笑顔からはモノづくりへの喜びがこぼれ落ちていた。