建築やデザインに特に興味を持っていなくても、「バウハウス」という言葉を耳にしたことはあるのではないだろうか。バウハウスとは、20世紀初頭にドイツで創設された造形学校の名称である。ナチスの圧力により14年という短い期間の活動であったが、近代デザインの礎を築き、後のデザインや建築に極めて大きな影響を与えた。このバウハウスのコレクションを、世界に誇れるほど所有する施設が杉並区にあることはあまり知られていない。
住宅メーカーのミサワホームが、高井戸にある総合研究所内に日本唯一のバウハウス専門美術館を開館したのは1996年。インテリアや絵画、グラフィックデザインなど世界的にみても大変貴重な約1,500点の作品のほか、資料約1,200点、芸術関連書籍約13,000冊を所蔵。無料の企画展を一般向けに開催している。過去には「バウハウスの色彩」「バウハウスの素材」などのテーマで企画展が行われた。
今後もさまざまな切り口でバウハウスを紹介する「偏ったテーマの企画展」を開催していく予定と聞く。「バウハウスは学校でありデザイン工房であり最先端の実験室でした。深く知れば知るほどおもしろい。狭いけれど深い内容の展覧会を積み上げることで、バウハウスの様々な魅力を紹介していきたい。」と学芸員は語る。
また、2019年はバウハウス開校100周年であり、大きな影響を受けた日本でも、2018年から2020年までの3年間、100周年を祝うさまざまな展覧会や講演会、再現授業やシンポジウムなどのイベントが行われている。ミサワバウハウスコレクションは、全国5つの美術館を巡回するバウハウス展でも重要な作品を多数出品し、企画に関わり、この大きなプロジェクトに参画している。
バウハウスというと敷居が高く感じてしまうかもしれないが、誰もが毎日必ず使っている椅子など、あくまで「日常生活のデザイン」をテーマにしたコレクションなので、気軽に訪ねてほしい。開催は不定期で休館期間が長いので、電話やホームページで確認を。
・開館時間:企画展期間中のみ開館
10:00-12:00 / 13:30-17:00(金曜 -19:00)
※予約制につき電話での申し込みが必要
・休館:水曜・土曜・日曜、祝日、年末年始、及び展示替え期間
・入館料:無料