「中華料理の脂っぽいだけのイメージを、変えたかったんですよ。」そう語るオーナーシェフ、小川さんの思いは、店名に表れている。「ビストロシノワ陽HINATA」、ビストロ的シノワ(中華料理)の店なのだ。
にぎわう下井草駅前商店街で、打ち放しコンクリートのモダンな外観が目を引く。店内は照明を絞りジャズが流れ、中華料理店なのを忘れてしまいそうだ。
小川さんは、有名中華料理店で腕を磨いた。まかないでは、先輩の「うまい」の一言を励みに、オリジナルな料理に挑戦してきた。従来の中華料理の食材にとらわれない。例えば9~10月限定のディナーメニュー「サンマと秋の味覚の炒め」(1,200円)も、そんな一品だ。「サンマなんて、普通中華では使わないんですけどね。」料理の盛り付けや配色、ソースのデコレーションにも気を配る。
野菜にもこだわっており、「季節野菜の香り炒め」(930円)は人気の一品だ。野菜の多さに思わず数えてみると11種類、絶妙な塩加減で一つ一つの野菜の甘さと香りが引き立っている。シェフのおすすめはエビ料理(写真上)。ズッキーニの食感とスパイシーなソースが絡んだエビのうまみが、いつまでも口の中に残る。酒のメニューも、紹興酒だけでなく、中華料理と相性のいいワインや日本酒も種類が豊富で好評だ。
西荻窪には、小川さんの先輩シェフの店、ビストロシノワYASMINがある。ビストロ的シノワの波が、杉並から始まっているようだ。
・ランチ平均900円 ディナー平均3,000円