ノートルダム清心学園理事長であった渡辺和子さんが、85歳のときに執筆したエッセイ。自らが経験を通して学んだ、傷つき悩んだときに心を穏やかにする術(すべ)を、40個の暖かいメッセージとして紹介している。「どんなところに置かれても花を咲かせる心を持ち続けよう」という渡辺さんの人生訓にたくさんの人が励まされ、2012(平成25)年の発売から3年後には200万部を突破、今もロングセラーとして読み継がれている。
おすすめポイント
渡辺さんは9歳の頃、父・錠太郎さんをクーデター(二・二六事件)で亡くした。当サイトの歴史コーナーに、クーデターが起こった当時を振り返る渡辺さんの講演内容が載っているが、本書の「父と私」の話の中にも、荻窪で起こった事件の様子がつづられている。「トラックで乗り付けて来た兵士たちの怒号、銃声、その中で死んでいった父の最期の情景は、私の目と耳にやきついています」と記しつつも、文の最後は父に対する感謝のメッセージで終わっており、運命を悲観せず、父を愛する気持ちを大切にしていた渡辺さんの思いが伝わってくる。
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