西荻おわら風の舞

三味線や胡弓(こきゅう)の音色でゆったりと

西荻おわら風の舞は、ゆるりゆるりと越中おわら節で西荻窪の街を踊り流す、夏の夜の風物詩。2012(平成24)年から毎年7月の最終日曜に開催され、今では多くの観客が沿道を埋め尽くす名物イベントとなった。
開催場所は旧府道(通称:おわら通り)で、五日市街道側から西荻窪駅に向かっての約600メートル。旧府道の南端、真ん中、北端の3カ所では、「組踊り」と呼ばれる立ち止まって踊る姿を見物できる。また踊り手が輪を作って踊る「輪踊り」には、当日誰でも飛び入り参加が可能で、2016(平成28)年には約500人が輪踊りを楽しんだそうだ。
越中おわら節は、男性はももひきに法被(はっぴ)、女性と地方(※)は浴衣を着て、踊り手は男女とも網み笠を深くかぶるのが特徴だ。そのため表情が見えず、また無言で踊るので、見ているとそこはかとなく哀愁が漂ってくる。地方が奏でる三味線や胡弓の音色に耳を澄まし、静かにゆったりと夏の夜を感じてみるのも一興だろう。

※地方(じかた):踊り手に対して、音楽を受け持つ人

女踊り(写真提供:西荻おわら風の舞実行委員会)

女踊り(写真提供:西荻おわら風の舞実行委員会)

実行委員長・平田さんのインタビュー

Q:開催のきっかけは?
A:地域活性化のために何かイベントをやろうと、西荻窪商店会連合会の会議で話し合いました。細い道が多い西荻窪の特徴を生かし、また二番煎じでない日本の和の文化を発信しようというコンセプトから、都内ではほとんど行われていない越中おわら節に決定しました。

Q:開催の時期は?
A:「東京高円寺阿波おどり」「阿佐谷七夕まつり」とも8月に行われているので、2つの祭りに先んじて、毎年7月最終日曜に開催しています。

Q:踊り手はどなたですか?
A:神奈川県海老名市の越中おわら節同好会(高尾会)のメンバーです。皆さん、40年以上にわたり、本場富山県富山市八尾町の指導を受けています。「西荻おわら風の舞」には、約50名が参加して踊りを披露してくれます。現在は西荻おわら会も発足し、口コミやインターネットを通じて集まった20名ほどのメンバーが、高尾会メンバーと共に踊りを披露できるよう月に1回稽古をしています。

Q:「輪踊り」に参加するには?
A:どなたでも飛び入りで参加できます。当日15時頃より輪島功一スポーツジム前で踊りの基本形の練習ができるので、そちらに参加されると、より楽しめるかもしれません。

Q:アピールしたいことは?
A:音楽はテープ、CDを一切使わず、地方が演奏します。雨が降ると楽器が濡れるので中断となりますが、生の演奏をぜひ聞きに来てください。またイベントの運営には、業者を頼まず、商店街役員や地元の消防団などを中心とした地域のみんなでもり立てています。ボランティアも募集しているので、興味がある方の参加をお待ちしています。

細い道なので踊りを間近で見物できる(写真提供:西荻おわら風の舞実行委員会)

細い道なので踊りを間近で見物できる(写真提供:西荻おわら風の舞実行委員会)

男踊り(写真提供:西荻おわら風の舞実行委員会)

男踊り(写真提供:西荻おわら風の舞実行委員会)

【次回】西荻おわら風の舞
2019年の開催は中止となりました

DATA

  • 最寄駅: 西荻窪(JR中央線/総武線) 
  • 取材:ikumi
  • 撮影:写真提供:西荻おわら風の舞実行委員会
  • 掲載日:2017年06月26日
  • 情報更新日:2020年05月27日