2017(平成29)年5月にオープンした香港カフェ3米3(さんまいさん)。香港のローカル料理である粥(かゆ)や点心、香港スイーツとドリンクを提供している。珍しい店名だが、よく見ると「粥」の字に似ていることがわかる。
メインメニューである粥は、香港の定番「豚肉とダブル卵」「鶏肉と椎茸(しいたけ)」のほか、店のオリジナルを含め常時10種類ほどある。旬の食材を使った期間限定の粥も選べ、粥のメニューは2カ月ごとに入れ替わる。
店主の朱(しゅ)さんは、「日本で粥というと、病気の時に食べるイメージが強いようですが、香港では日常の食事として食べられています」と話す。味も日本とは全く違うそうで、鶏から取ったスープに、貝柱や椎茸、陳皮(みかんの皮)を加え、米を入れて煮込むこと3時間。こうしてできた粥に、好きな具材を混ぜていただくのが香港スタイルだ。丁寧に煮込んだ3米3の粥も、米の粒はほとんどなくトロトロ。だしのうまみが効いた奥深い味わいである。「豚肉とダブル卵」を注文したところ、厚切りの豚肉とピータンの存在感が際立ち、想像以上に食べ応えがある。日本の粥とは別物。まさに、体の中までしみじみと温まる「食事」といえよう。
朱さんの好きなポーランド食器が、小物にいたるまで使われているのも3米3のこだわり。この食器と香港料理の組み合わせに関して、「もともと香港は、中国とさまざまな国の文化がミックスしていることから、自然な発想なんです」と朱さんは言う。確かに、ぽってりとした温もりあるポーランド食器と、優しい味わいの粥は、相性良く感じる。
来店客は女性が多いが、一人で来る男性や家族連れの姿もある。「“初めて食べたけどおいしかった”“また来ます”と言われることが嬉しい」と朱さん。これからも香港の食文化を伝えていきたいそうだ。