明るいうちに銭湯に行く。明るいうちから酒を飲む。このふたつのサイコーを組み合わせたのが『昼のセント酒』だ。全10話からなるエッセイでは、1話ごとに杉並区浜田山や吉祥寺など舞台を変えつつ、地元に愛されている銭湯と居酒屋、そこで出会ったユニークな人々の姿が語られている。登場する銭湯は、すすけた煙突に富士山のペンキ画、壁に店主の注意書きがあるような、粋で素朴な店ばかり。ひと風呂浴びて汗を流したあと、居酒屋で冷えたビールをあおるシーンでは、思わず「かぁー!ウマイ!」とつられて叫んでしまいそうになるほどの爽快感が得られる。
作者インタビュー
著者の久住昌之さんは、仕事場が吉祥寺にあることから、よく井の頭線界隈を散歩しているとのこと。エッセイで取り上げた浜田山も、のんびりした親しげな雰囲気が好きで、途中下車をしてちょくちょく寄っているそうだ。「杉並区も銭湯はまだまだある。銭湯つきの散歩なんかするのはどうですか?住宅地で散歩ってのもおもしろいよ」(久住さん)
おすすめポイント
第一話に登場するのが、浜田山の「浜の湯」(※)と居酒屋「かのう」。この両店は、本のカバーと裏表紙の写真のロケ地にもなっている。話の途中には他にも浜田山お馴染みの店が顔をのぞかせるので、浜田山ファンならば特に楽しく読めること間違いなし!
<追記>
※「浜の湯」は2013年に閉店 -2016年4月7日加筆-
『昼のセント酒』を原案とした連続ドラマが、4月9日(土)よりスタート。
毎週土曜日・深夜0時20分~・テレビ東京系