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本・子ども・絵本

著:中川李枝子 (大和書房)

童話作家、中川李枝子さんが、世田谷の保育園で保育士として、17年間、子どもたちと関わった経験をもとに、読み聞かせ、遊びなど、子育てに則して、子どもと子どもの本について語ったエッセイ集。また、自身の物心ついた頃からの本との関わりにも触れ、本に登場する子どもたちの面白さと不思議さに惹かれ保育士となり、さらに、子どもたちを喜ばせるために自分でお話をつくり始めたいきさつも述べられている。『いやいやえん』『ぐりとぐら』『そらいろのたね』『ももいろのきりん』『こだぬき6ぴき』、数々の子どもの本の原作、また、映画『となりのトトロ』の挿入歌の作詞等々、子どもたちを魅了しつづける中川さん、その魔法の秘密を知ることができる作品だ。表紙と挿し絵は、長年の絵本創作のコンビ、妹の山脇百合子さん。お馴染みの愛らしいキャラクターたちが出迎えてくれる。
おすすめポイント
中川李枝子さんは、多感な少女時代を、杉並、天沼で過ごした。うちは貧乏なんだぞ、といいながらも、両親は子どもたちにできるかぎりの読書環境をつくり、姉二人、弟、妹、揃って本が大好きになった。両親の入学祝いの『アンデルセン童話集』、担任の先生の誕生日祝いの『たんぽぽの目』、戦争が激化、疎開する直前に父親が阿佐谷の本屋で買ってくれた『野口雨情少年詩集』、また、のちに童話作家の石井桃子さんを荻窪に訪ね、作品を読んでもらったことなど、中川さんの杉並での大切な想い出を通して、当時の杉並の子どもたちの様子も彷彿させてくれる。

DATA

  • 取材:井上直
  • 掲載日:2013年09月09日