高円寺純情商店街

著:ねじめ正一 (新潮社)

詩人である作者が、3年を費やして書いた1作目の小説集。主人公の正一は、高円寺北口商店街にある江州(ごうしゅう)屋乾物店の息子。彼とその家族や商店街の人々などとのかかわりから、話が展開していく昭和30年代の物語である。第101回直木賞受賞作品。
おすすめポイント
正一が小学生から中学生に成長するに従い、父、母、祖母に対して抱く思春期にありがちな心情が、細やかに表現されている。情景描写がリアルで本を読み終える頃には、乾物屋を愛しく思う気持が湧いてくる。家族愛を共感したい方や、少年・少女の頃を懐かしく思い出したい方に、特におすすめ。読後に現在の高円寺純情商店街(旧高円寺銀座商店街)を散策してみるのもいいかもしれない。
第2作目『高円寺純情商店街 本日開店』(1990年4月発行:商店街の人々に再会)、3作目『高円寺純情商店街 哀惜篇』(1998年2月発行:新たな人物、棚橋挑太郎〈俳人・高橋鏡太郎氏がモデル〉が登場)も出版されている。
注:ハードカバーの書籍(初版)は、1989年2月発行で本の状態を保つため、中央図書館では閉架の保存庫からお借りください。新潮社からは文庫も出ています。

DATA

  • 取材:やーちゃん 
  • 掲載日:2011年10月27日