1927(昭和2)年に荻窪に移り住んだ著者が、関東大震災から太平洋戦争後まで時代の流れを背景に、荻窪での文筆生活を綴った自伝的作品。変り行く荻窪界隈の様子、作家仲間や市井の人々との交流が著者一流のユーモアあふれる軽妙な筆致で描かれる。
おすすめポイント
昭和初期の荻窪界隈の空気が全編に渡り満ちあふれた作品。馴染み深い杉並の地名が次々に登場し、読者を過去へと誘う。今は昔の荻窪界隈の町と人の様子が文学の香りたっぷりに描かれる他、作家たちのエピソードが興味深い。戦前の文学や当時の杉並に関心があればぜひ。