BnA HOTEL Koenji(ビーエヌエー ホテル コウエンジ)の共同代表の一人、大黒健嗣(だいこくけんじ)さんは、高円寺でギャラリーを運営しながら作家とのネットワークを築いてきた。そして2016(平成28)年3月、新たな試みとしてビルをリノベーションし「泊まれるアート」を誕生させた。「日本のアートに関心を持つ海外からの旅行者に高円寺に来てもらい、体験し、作家と交流をしてもらうのが目的だ。」と大黒さんは言う。
ビルの2階と3階に、宿泊可能なアートルームを1部屋ずつ配置。高円寺をベースに活動している2人のアーティストが、それぞれ部屋全体を1つの作品と捉えて制作している。壁面のペインティングからカーテンやカーペット、さらには照明器具やテーブルにいたるまでトータルにデザインした。宿泊料の一部は制作者に還元されるため、作家支援にもなっているのが特徴だ。また、1階にはホテルのフロント機能をもったバーがあり、宿泊客を含めた交流の場として機能している。
大黒さんは、「まずは2部屋でスタートしたが、高円寺中にあるさまざまなビルを活用して、3年ぐらいで30部屋前後に拡大し、高円寺全体を1つのホテルのようにしたい。小さいけれどアートを軸にした経済圏を高円寺でつくりたい。」と話す。今後は高円寺にミュージアムショップを作り、その次は近所の飲み屋やレストラン、銭湯などとも協業していく計画があるそうだ。