荻窪で生まれ育った小島(おじま)さんが営む貸しギャラリー&スペースgallery & space 65chabu.(ロクゴーチャブ)。青梅街道から教会通り新栄会に入って5分ほどの場所に、2015(平成27)年6月にオープンした。
店名の“65”はこの店の長屋を建築した1965(昭和40)年から、“chabu"は2008(平成20)年よりこの店の隣で営業している「ちゃぶ久cafe」のコンセプト「実家のちゃぶ台で過ごすようにゆっくり過ごしてほしい」という思いが込められている。
ギャラリーは、昭和建築の良さを可能な限り残している。梁(はり)も塗り直さず、2階に上がる階段跡も手を加えていない。ピクチャーレールを設置していないのは、オーナー側で使い方を限定してしまうのが嫌だからだそうだ。「柔軟に使ってほしい。利用する人たちの小さな夢を叶えるお手伝いができれば」と小島さんは言う。
1日単位で利用でき、用途に合わせて壁に釘(くぎ)を打つことも可能だ。フラメンコやピアノライブなどの鑑賞型のアートから、ワークショップやフリーマーケットに至るまで、用途は多種多様。プロアマを問わず借りたい人なら誰でも借りられる。小島さん自身も子供向けに、段ボールで秘密基地を作ったり、好きな色で好きなものを描いたりするワークショップを企画・実施している。「親の顔色をうかがうことなく、子供たちが自分の心をありのまま表現する姿が見たいから」と小島さんは話す。
店内に入るのに勇気がいるギャラリーではなく、「今日は何をやっているのかな」と近所の人や通りすがりの人がのぞいていくような気軽さを、65chabuは目指している。