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にわとり文庫

個性あふれる街中の一角にあるにわとり文庫

個性あふれる街中の一角にあるにわとり文庫

にわとり×こけし!?思わず立ち止まりたくなる店構え

店頭にはこけしが並び、店内には古書に交じって昔懐かしいおもちゃもちらほら…。西荻窪駅徒歩約3分に位置するにわとり文庫は来店客を引き付ける魅力がいっぱいの古書店だ。
店主の田辺浩一さんは、自由が丘の古書店で修業を積み、2005(平成17)年の酉年(とりどし)にこの店を開業した。店名は、えとにちなんで名付けたという。西荻窪という街を選んだのは「夜も街が安全で元気。時間の流れがゆっくりしたところが、古書店にしっくり合うなと思って」と田辺さんは話す。
当初は漫画の古書を中心としたオーソドックスな品ぞろえだったが、現在は古書の販売に加え、こけしの買い取り・販売、古書市やこけしイベントの開催など、活動の幅を広げている。

にぎやかな装飾が目を引く、にわとり文庫店頭

にぎやかな装飾が目を引く、にわとり文庫店頭

こけしが縁で世界が広がった

古書以外も扱うようになったのは、妻でイラストレーターの西村博子さんのアドバイスから。博子さんが友人のイラストレーター・エッセイストの浅生ハルミンさんの影響で興味を持ったこけしを店内に置いてみたところ、2011(平成23)年に西荻窪の老舗料理店「こけし屋」で「こけしまつり」を開くまでに。ちょうど2011年の東日本大震災直後の開催となり、震災復興イベントとして実施されたこの企画がきっかけで、高円寺フェスでのイベントや、紅茶と郷土玩具の店「紅茶とこけし 西荻イトチ」の開店に関わるなど、幅広いコラボレーションを実現していくこととなった。

古書と共に並ぶこけしたち。店内を見て回るだけでも楽しい気分に

古書と共に並ぶこけしたち。店内を見て回るだけでも楽しい気分に

取材時の2022(令和4)年6月にも、近隣の4店舗と8回目の「KOKESHI EXPO 2022」を開催したばかりという田辺さんは「中央線沿線には、同志を見つけたら“一緒にやろう”という文化があるように感じますね。私も新企画の立ち上げに声を掛けてもらったら断らないと決めているんです。新しいことを始めるには“勇気”がいるから、なるべく応えたい」と語る。好奇心を持って前向きに取り組む店主の姿勢があるからこそ、多くの声が掛かり続けるのだろう。

漫画や児童書などの古書が充実

漫画や児童書などの古書が充実

古びない、古書店

今後の展望を伺うと、意外にも「先のことは考えすぎないようにしているんです」という答えがあった。自ら「幸せな商売」と表現する古書店を職業のベースにすることは変わらない。だが「店が変化していくことは歓迎だし、自分自身もわくわくする気持ちを忘れずにいたい」と、田辺さんはほほ笑む。
古書店でありながら、古びない。変化を続ける「にわとり文庫」はきっと、いつ訪れても新しい驚きと発見を与えてくれるだろう。

店主の田辺浩一さん。穏やかながら熱のこもった口調が多くの人を引き付ける

店主の田辺浩一さん。穏やかながら熱のこもった口調が多くの人を引き付ける

DATA

  • 住所:杉並区西荻南3-17-5
  • 電話:03-3247-3054
  • 最寄駅: 西荻窪(JR中央線/総武線) 
  • 営業時間:12:00-20:00
  • 休業:火曜、水曜
  • 公式ホームページ(外部リンク):https://twitter.com/niwatoribunko
  • 取材:ぬかざわともこ(区民ライター講座実習記事)
  • 撮影:いけじ
    取材日:2022年07月03日
  • 掲載日:2022年10月17日