「自分に合う仕事を見つけたい」「もう一度働きたい」…仕事に対する悩みや問題は人それぞれ。自分で解決できる人がいる一方で、誰かの手助けが必要な人もいる。そんな時に訪れたいのが杉並区就労支援センターだ。
センター内には、就労準備相談・職業紹介などを行う「若者就労支援コーナー(すぎJOB)」、就労準備トレーニングなどを行う「ジョブトレーニングコーナー(すぎトレ)」、国の機関「ハローワークコーナー」の三つの窓口があり、連携して就労を支援してくれる。開設は2012(平成24)年で、当初は「すぎJOB」と「ハローワーク」の二つの窓口だったが、翌年に「すぎトレ」が就労の前段階をサポートする目的で開設された。「どの窓口に相談すべきか迷った時は、スタッフがガイドしますよ」とすぎトレ副所長は語る。
相談員はキャリアカウンセラー、公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士などの資格と豊富な経験を持ち、頼りになる存在だ。
「すぎJOB」では、利用者の状況に見合った就職・転職活動の進め方を提案し、希望や適性に沿って求人紹介をしてくれる。利用者は10~80代と幅広い。
支援は、キャリアカウンセラーによる丁寧な個人相談対応から始まる。来訪者それぞれの「働きたい」気持ちに寄り添うためだ。就活中の不安や悩みは、臨床心理士などの専門家が対応してくれるのもうれしい。
また、適性・適職診断などを通して自分の価値観や特性がわかるセミナーや、社会人としての基礎知識、パソコンスキル、コミュニケーション力など、実用的なスキルを身に付けられるセミナーを週2~3回実施している。「個人相談とセミナーの両方でサポートするから利用者にとって大きな力となる」とすぎJOBスタッフは語る。
「すぎトレ」は、就職未経験やブランクがあるなどの相談者が働くための自信や基礎力を身に付けられるよう、段階に応じたプログラムを用意している。
まずは「室内・室外プログラム」で、事務作業やパソコンの練習をしたり、車いす清掃ボランティアに挑戦したりしながら、社会人としてのマナーやコミュニケーションなどを学ぶ。その次の「事業所プログラム」では、実際に店舗などで制服を着用して就業体験をしたり、区民農園で農作業を行ったり、外部での作業にチャレンジすることが可能だ。副所長は「ゴールは必ずしも就職ではありません。働ける施設やボランティア活動を勧めることもあります」と話す。
また、2021(令和3)年はセンター内で「すぎトレ祭り」を開催し、「自分の自慢したいものを持ち寄ろう」「クイズ合戦」の2部構成で実施。利用者が司会進行も行い、イベントを盛り上げた。南伊豆で合宿なども実施しており、利用者が楽しみながらさまざまな体験ができる機会を作っている。
「すぎJOB」の隣にあるハローワークコーナーでは、全国のハローワーク求人情報の閲覧や職業相談・紹介を行っている。求人検索機が7台設置されているほか、ハローワーク新宿のスタッフが常駐しているので、直接窓口で相談することもできる。
すぎトレ副所長は「“すぎトレ”の利用者が、何かをきっかけに自発的になっていったり、知らぬ間にバイトに応募していたりすることがあるんですよ。そんな時、ここでの体験が無駄じゃなかったとうれしく思う」と話す。また、「すぎJOB」スタッフは「相談者の就職が決まった時や、新たな職場でがんばっている近況を聞く時に、この仕事のやりがいを感じます」と笑顔で語る。その言葉からは、就職準備から就労後まで利用者に寄り添いながら支援してくれる頼もしさが感じられた。
「「はたらく」を開こう」(杉並区産業振興センター就労・経営支援係)