週刊ビッグコミックスピリッツで連載中の漫画『ひらやすみ』。コミックスは4巻まで出版されている(2022(令和4)年11月現在)。
仲良くなった近所のおばあちゃんから、阿佐谷の平屋を譲り受けた、お気楽なフリーター・生田ヒロト(29歳)。物語は、美大進学のために上京した、いとこのなつみちゃん(18歳)と一緒に暮らすところから始まる。登場人物たちは、それぞれ生きづらさと向き合いながら不器用に生きている。そんな彼らにヒロトは自然に寄り添い、一息することを思い出させ、読者の心までも温めてくれる。日々の暮らしの中に喜びを見いだすことの大切さに気付かせてくれる作品だ。
著者は、石川県生まれで、『トーキョーエイリアンブラザーズ』などの代表作がある真造圭伍(しんぞう けいご)さん。『ひらやすみ』は数々のマンガ賞にノミネートされ、「マンガ大賞2022」第3位に選ばれた。
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作中には、主人公ヒロトが心地よいと感じる場所として、実在する杉並の風景が多く描写されている。
ヒロトのバイト先である釣り堀は阿佐谷の「寿々木園」がモデル。釣りをしに行けば、ヒロトに会える気がするかもしれない。ヒロトが気になる女性・よもぎさんと阿佐谷パールセンターのサイゼリヤから「阿佐谷七夕まつり」のハリボテを眺めるシーンもあり、杉並のイベントが登場するのもうれしい。その他、阿佐谷商和会や高円寺ルック商店街など、区民なら見覚えのある街並みや店がたくさん描かれているので、より作品を楽しめるに違いない。ヒロトのように自分が心地よいと感じる場所を探しに、『ひらやすみ』の聖地巡礼をするのも面白そうだ。
2023(令和5)年1月23日(月)~2月4日(土)には杉並区区民ギャラリーで、「ひらやすみ原画展」が開催された。
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