マイクロシアターならではの距離感を堪能できる(写真提供:シアターバッカス)
高円寺駅北口から徒歩約5分、高円寺純情商店街にあるビルの3階にマイクロシアター「高円寺シアターバッカス」(以下、バッカス)がある。2017(平成29)年2月14日に「高円寺アンノウンシアター」としてオープン。2019(平成31)年1月1日に現在の店名に改称した。
代表の丸山さんは「バッカス最大の武器は、マイクロシアターならではの距離感です。都内でも特徴的な、バッカスだけの見え方・聞こえ方を提供できていると自負しています。また、商業系やインディペンデント系問わず、作品・作家・チームの心意気や志を感じるものを上映しています。大きな劇場では見られないクリエイターの短編作品の特集上映も武器の一つです」と言う。
2020(令和2)年2月からは、コロナ禍により休館を余儀なくされたが、バッカスを愛する映画監督たちによるオンライン・チャリティー上映企画などに支えられ、同年7月に営業を再開した。「休館中、復活を望むお客様の応援を受け、日本映画を待ってくれている人が多いことをあらためて感じました。バッカスは日本映画を”消費する場所ではなく、創り上げる場所”です。出演者、スタッフ、お客様それぞれが高円寺のこの場所を使い倒してほしい。そういう土壌を作りたいんです」
2022(令和4)年10月30日には「高円寺フェス2022」の参加企画として、バッカスで「C-LINE FILM FESTIVAL」を開催。沿線で暮らす人たちの生活や喜怒哀楽、思い描く夢を収めた4作品が上映された。
丸山さんは「中央線沿線には文化の力を信じる人たちが自然と集まる。バッカスはその人たちのラボであり苗床なんです。高円寺から世界へ羽ばたいてほしいです」と言う。
バッカスでは映画だけでなく講談も開催され、講談師の情緒的な語りを目の前で聞くことができる。高円寺の「通」たちをも飽きさせないさまざまな趣向がバッカスの売りである。