荻窪地域の歴史を後世に伝えるため、荻窪地域区民センター協議会が発行してきた冊子「荻窪の記憶」シリーズ。その締めくくりとなる「総集版 荻窪の記憶」(※1)を紹介する。
荻窪地域区民センター協議会では、2016(平成28)年に、地域住民の協力を得て荻窪の歴史について取り組む「荻窪の記憶」プロジェクトを立ち上げ、翌年から荻窪各地域の歴史をまとめたパネル展示を開催。その内容を冊子にまとめ、「荻窪の記憶」シリーズとして発行してきた。2022(令和4)年12月から翌年1月まで本シリーズの締めくくりとして開催された、第5回「荻窪の記憶Ⅴ~エピローグ・発展と変貌」を機に、新たに「総集版」としてまとめられたのが本書である。
以前から明治以降の日本の近代史に興味があったのですが、四谷から荻窪に引っ越し、住んでみて、ここが郊外でありながら日本の近代化の足跡も伝えてくれる貴重なエリアだと気付きました。荻窪地域区民センター協議会の委員就任を機に、この荻窪地域の歴史を掘り起こしてみたいと働きかけて、協議会に「荻窪の記憶」プロジェクトを立ち上げました。
プロジェクト開始当初は、荻窪の歴史講座や町歩きなどを開催していたのですが、センターの対象地域ごとの歴史にスポットを当てたパネル展示を2017(平成29)年から2023(令和5)年にかけて5回(※2)開催し、その展示内容を「荻窪の記憶」シリーズとして冊子にまとめてきました。
シリーズを締めくくる本書を通して、荻窪の町とその歴史に親しんでいただくきっかけになればうれしいです。
本書の序文「はじめに」には、「荻窪の記憶」プロジェクトの目的や取り組みの経緯が順を追って分かりやすく丁寧に説明されており、執筆者の荻窪の町とその歴史に寄せる思いが伝わってくる。
また、荻窪が住宅地としてどのように誕生し発展してきたのかについて、杉並区立大田黒公園周辺地区にスポットを当て、荻窪の近代史をたどった「第一章 大田黒公園周辺100年の歴史」が秀逸だ。中でも、「Ⅰ 別荘の時代」では、「"坂の上の雲"世代の知的なエリートたち」が、旧東京市内に家を持ちながらなぜ荻窪に土地を求めたのか、そして、現在の大田黒公園周辺がなぜ別荘の適地として注目されたのかなどについて詳しく紹介されており、周辺の歴史散策のガイドブックとしても利用できる。
本書は、杉並区立図書館の全館に配架されている。また、冊数に限りはあるが、同協議会事務局にて無料配布されている(原則、一人1冊)。
▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>杉並区立大田黒公園
すぎなみ学倶楽部 特集>荻窪三庭園>荻窪の歴史と荻窪三庭園
※1 本書の収録内容
第一章 大田黒公園周辺100年の歴史
第二章 天沼100年の歴史
第三章 南荻窪・宮前100年の歴史
第四章 清水・桃井・今川の歴史
第五章 エピローグ・発展と変貌
「荻窪の記憶」写真館
町名の由来と今
※2 パネル展は5回とも荻窪地域区民センター・ロビーと杉並区立郷土博物館分館の2カ所で開催された