五日市街道沿いの黄色い看板が目印の好味屋。70年程前にここ杉並で干物などを扱う「乾物の好味屋」としてスタートした初代だったが、本家より枝分かれし、戦後日本で珍しかった生クリームを使った洋菓子店に転身。その後、紆余曲折あり現在の店舗で営業するようになったのは平成9年。現店主の藤村裕二氏は、護岸される以前の善福寺川で泳ぎ、近所でカブトムシを山程採った生粋の成宗っ子(※1)。昭和38年の杉並第二小学校卒業時のお祝い品は好味屋のチョコケーキだったそう。「生まれ育った杉並で仕事が出来ることが嬉しい」とは、地元にとって心強いお言葉。製品にはイースト菌以外の防腐剤・添加物は入れず、伝統の製法と味を守り続ける。
おすすめ商品
洋菓子の一番人気は洋酒の風味ととろける食感が特徴のインディアンプリン(250円)。メロンと生クリームがのり、一見するとケーキのようだが、蒸し焼くのに3時間もかかるという。そして、「好味屋といえば」はロールケーキ。コーヒーを混ぜ込んだスポンジ生地の気泡が荒めなのが手間をかけた証拠と胸を張る。冷蔵庫で1週間程は保存OKだが無添加のため乾燥しやすいのでご注意を。またパンも人気で、沖縄の塩を使用したパンは食パン・クリームパン他各種有。味の秘訣を伺うと「昔ながらの製法を守っているだけ」と気さくに語る。素朴で確かな味にお人柄のエッセンスが加わり飽きの来ない美味しさを届ける。
※1…成宗っ子:現在の東田町・西田町近辺は以前は成宗という地名だった