現店主は学生時代から「甘いっ子」の大ファンで、20数年間通い続けていた。店を閉めると言う先代から店を引き継いだのは2000(平成12)年。それまでサラリーマンだった店主にとって、1965(昭和40)年に開店し、長く支持されてきた甘いっ子を継ぐ修行は、想像を絶するものだった。先代は職人気質で「見て覚えろ!」というポリシー。2~3年後、味や作り方など何もかもを託されて完全に店を任されたが、「たまにふらっと来て味見をしていく先代が怖かった。」と話す。
看板商品は、いちご、杏、宇治、ミルクなど数種類あるかき氷。いちごと杏のシロップは自家製だ。いちごは、あまおうが手に入る時期は必ずあまおうを使い、それ以外も国産で大きく味の良いいちごを選ぶ。火にかけずに作るシロップは、まさにフレッシュないちごそのものの味だ。また、杏はカリフォルニア産の大きな乾燥杏を刻んで煮込み、裏ごしする。「繊維が多い杏は、裏ごしが一番大変。」だそうだが、出来上がった杏シロップは、とろみと照りが美しくフルーティーだ。
通年でのおすすめはあんみつ。餡になる小豆は、収穫後の小豆の中から大粒な物だけを選別した帯広産の「豊祝」。甘いっ子のさっぱりとした甘さの餡に最適だと言う。「いつもはつぶ餡とこし餡の2種類を作っていますが、夏の繁忙期はつぶ餡だけで勘弁してもらっている日もあります。」
「甘味処」という名前がふさわしい店内では、長年継承された伝統の甘味と共に、どこか懐かしいレトロな雰囲気も味わえる。