高円寺駅南口より徒歩5分ほど。長仙寺向かいのビルの2階にあるアール座 読書館は、読書や思索などを楽しむために、「会話おことわり」の喫茶店。水槽に落ちる水の音と柱時計の時を告げる音が、静けさをひきたてる。都会に出現した静寂に満ちた異空間といった場所である。
店主の渡辺さんは杉並生まれだが、2008(平成20)年1月に高円寺に開業したのは偶然からとのこと。都内全域を探した末、内装を自由に変更できる建物を見つけたのが高円寺だった。「日常から離れる」をテーマに、6カ月かけてほぼ手作りで、洋館をモチーフにした理想の空間を作り上げた。席はすべて趣向が異なる作りになっており、お気に入りの定席がある常連客も多いという。「自分の部屋のように使って、独特の空気感を楽しんでほしい。」と渡辺さん。
開業時から各席には「落書き帳」が置かれ、自由にメッセージを書ける。「最初はアンケートのような目的で置いていたのですが、心情を書く方が多く、それに感銘を受けた方がまた思いを書きつづるといった感じで続いています。開業以来100冊を超え、店の宝物になっています。」メニューは飲み物が中心。写真入りの丁寧な説明書きが用意されていて、客が飲み物を選びやすいようにとの渡辺さんの心配りを感じる。
同じビルの3階には、渡辺さんが経営する喫茶店「エセルの中庭」がある。こちらは店内で会話ができるので、誰かと時間を共有したくなったら、足を運んでみてはいかが。