西荻窪駅から徒歩約10分、地蔵坂交差点からほど近い場所に醸(かもし)カフェはある。店主の品田和義さんは、会社員として30年間勤務していたが、48歳の時に天然酵母のパン教室に通い、発酵食品とカフェ経営に興味を持つようになった。店をオープンしたのは4年後の2013(平成25)年6月、「病氣にならない体づくり」が店のコンセプトだ。
訪れた人の多くが注文するという人気商品が「発酵づくしセット」(1,100円)。アボカド、トマト、キノコを中心に、10種類の発酵食品が一皿で楽しめる。スイーツのおすすめは「みりん粕で作ったこぼれ梅ケーキ」(300円)。砂糖不使用にもかかわらず甘くしっとりとしており、みりん粕の風味をたっぷりと感じられる。
店内には大きな木のテーブルが一つ。カウンター席のみの内装は品田さんが考案した。現在土曜と日曜の昼には、このテーブルを取り囲んでさまざまなワークショップが開催されている。内容は毎回異なるが、味噌づくりやぬか床づくりなど、店のコンセプトに沿うものが多い。ここでしかできない体験を求めて遠方から来る人もいるそうだ。また、品田さんは、西荻ラバーズフェスや松の木手づくりマルシェ、チャサンポーなどのイベントに参加し、地域交流も積極的に行っている。「醸(かもし)カフェはごちそうを提供する場とは捉えていない」と品田さん。健康な生活を送ることに焦点を当てた新機軸のカフェは、これからもたくさんの人と共に歩んでいきそうだ。