一言でいえない複雑な味わい、独特の食材コラボ、辛さよりも優しげな香りを感じる人も多いと思われるネグラのカレーは、「妄想インドカレー」とも呼ばれ人気だ。「伝統的なインドカレーではなく、自分達が楽しみながら作っている想像上のインドカレーということで、そんなキャッチフレーズにしたんです」と店主の大澤さんは語る。
2016(平成28)年9月、高円寺エトアール通りに再開店したネグラは、個性的な店が多い高円寺においても、その存在が際立つ。カレーは、日替わりで用意された数種のカレーをあい盛りにした「Today’s Curry」(1,500円)のみと潔い。選べるのはドリンク(「しびれるチャイ」(500円)、「ラムチャイ」(600円)など)と、タンドリーチキン(300円)やチャツネ(青果と香辛料を煮込んだソース・200円)をトッピングするかどうかだ。
大澤さんはイタリアンや肉料理専門店での経験を活かし、2012(平成24)年頃から、もともと好きだったカレーにオリジナリティを加えることに挑戦。旬の野菜が持つ風味やコク深さを、繊細なスパイスの調合で引き立てるカレー作りにたどり着く。定番食材はもちろん、ふきのとう、チンゲンサイ、ツルムラサキ、葉わさび、ゴボウ、シラス、ホタルイカなど、これまでカレーに取り入れた食材は数多い。「素材の味を活かせるようスパイスを最小限に抑え、季節や天候によっても調整しています」という。ライスは長粒米で、食感も軽く、もたれ感はない。
トッピングとして選べるタンドリーチキンも一般的なインドカレー店のものとは違い、コンフィ(オイル漬け食材のグリル)され、しっかりした味付け、柔らかな食感、ほどよくオイリーで食べ応えがある。
新鋭店舗ではあるが、高円寺のベーカリーともコラボイベントを開催するなど、街とのつながりも深い。飲食店の枠にとらわれず、交流の場でもありたいと「ネグラ」と名付けられた店名は、やや奇異に響くが、研究熱心な店主と親切な店員が迎えてくれる優しい料理を提供する確かに居心地のいい店だ。
・ランチ&ディナー:1,500円~