新高円寺の青梅街道沿いにあるベーカリー兎座LEPUS(レプス)は「ウサギ愛」に満ちている。店頭にはウサギのイラストの看板、店内には数々のウサギ型のパンや焼菓子が並ぶ。
オーナーは「Joel Robchon」(※1)のスーシェフブランジェ(※2)だった東山伊織さん。15種類の小麦粉をパンに合わせて調合し、約40種類のパンや菓子を焼き上げる。「自分がおいしいものを作りたいし、皆にも食べて欲しい。ですが、気楽にやっています」と東山さんはいう。
2017(平成29)年3月にオープンすると、すぐにウサギ好きの人たちの間で評判となり、みるみる行列店に。翌年には期間限定でウサギのキャラクター「ナナチ」(※3)とグッズのコラボレーションを行い、行列はさらに長くなった。「たまたまが重なってこの場所で独立しましたが、縁ですよね。杉並区にアニメ制作会社が多いこともちょっとうれしいです」とアニメ好きだという東山さんは笑った。
「一般的にクロワッサンは焼き込んでサクサクですが、ロブションのものは外側はサクッと中はしっとり、ジュワッと発酵バターが流れ出して香りが素晴らしい。衝撃的でした」(東山さん)。その感動を再現しつつ、全粒粉で香ばしさをプラスした「クロワッサン」(200円)。「うさぎ食パン」(1斤440円)はオリジナルの型を使い、試作を繰り返して生み出した傑作。トーストすると、軽い歯応えとフワモチ感があり、小麦の香りと旨みが口中に広がる。耳の部分はカリカリになって食感が楽しい。ロブション仕込みのフランス系パン(※4)と焼き菓子がメインだが、毎週土曜日にライ麦90パーセント以上のドイツパン「ロッケンブロート」を焼く。またクリスマス限定でウサギ型「シュトーレン」を販売。
※1 Joel Robchon:恵比寿にある天才シェフ、ジョエル・ロブションが展開するシャトーレストラン
※2 スーシェフブランジェ:2番手のパン焼き職人のこと
※3 ナナチ:『メイドインアビス』つくしあきひと著(竹書房)に登場するキャラクター。アニメは2017(平成29)年7月~9月に放送
※4 フランス系パン:小麦粉と塩、水、イースト菌だけで焼くパンとバターを使ったクロワッサンなどがある