難関大学への合格実績を伸ばしている進学校でありながら部活動も盛んで、「文武両道」という言葉がふさわしい国学院大学久我山中学高等学校(以下、久我山)。ラグビー部は全国高等学校ラグビーフットボール大会に過去41回出場し、優勝5回、準優勝2回、通算勝利数90勝(歴代4位)という成績を残している。
創部は1948(昭和23)年。学校創立から4年経ち、いろいろな部活ができたころだという。現監督の土屋謙太郎氏は同校の31期生で、全国大会で準優勝したときのメンバーだ。「この年は2連覇がかかっていましたが、決勝戦の残り14秒で逆転負けしました。勝ちきれなかったからこそ、今も指導者としてラグビーを続けているのかもしれません」と振り返る。監督に就任した2017(平成29)年に、全国大会初戦で国学院大学栃木高等学校との兄弟対決を制したが、栃木の吉岡肇監督とは同期だった。1,000名以上いる同部のOBには、指導者のほか、元ラグビー日本代表やトップリーグの選手など、日本ラグビー界で活躍する面々がそろう。
現在、ラグビー部の平日の練習時間は2時間ほどで、グラウンドも狭く、他の大会常連校に比べて決して練習条件が良いとはいえない。土屋監督は久我山ラグビー部の強さについて、「いくら最先端のコーチングを施しても、受ける側の生徒が応えられなければ机上の空論です。生徒が勉強と部活の両方で結果を出せるよう、生活指導をしっかりと行い、集中して取り組める姿勢を作っています」と話す。栄養指導にも力を入れており、部員たちは週に2、3回、昼食に栄養士が作るアスリート弁当を食べて体づくりをしているそうだ。
中高一貫校なので、中学1年から6年間練習に打ち込めるのも特徴の一つ。現キャプテンの住吉一晟さんも、「全国優勝したいと思い、中学受験をして久我山に入りました。高校1年の東京大会でけがをしたときに、先輩から“あと2年あるからがんばれ”と言われ、励みになりました。今年の目標はもちろん全国制覇です」と胸を張る。高校からはスポーツ推薦で入学してきた実力ある生徒も加わり、チーム強化につながっている。
歴史あるラグビー部として、毎年期待に応えるだけの結果を出さなければならないプレッシャーもあるが、土屋監督は「生徒にとってはその年に勝つか負けるかが一番大事。優勝という高い目標を目指した誇りとプライドを持って卒業してほしい」と、笑顔で話してくれた。