形と色も楽しめる「はあともなか」
阿佐ケ谷駅北口から松山通りを歩いて約10分。菓人 結人(かじん ゆうと)は、2014(平成26)年10月に開店した和菓子店だ。どら焼き、大福などの定番商品や、店主の高橋結人(ゆうと)さんが洋菓子風にアレンジした和菓子が顧客の人気を呼んでいる。好みの菓子を選びながら高橋さんと会話を交わす常連客も多く、「わが町の和菓子店」といった雰囲気がする。
高橋さんは実家が和菓子屋。2004(平成16)年に東京製菓学校第1部(現昼間部)和菓子本科を卒業し、3軒の店で10年間修業した後に開店した。「阿佐谷は、個人店が多く住みやすそうに感じて開店しました。おいしい和菓子を通して、人と人の架け橋になるような店を目指しています」と高橋さん。本名から取ったという店名からも、その思いが伝わってくる。
高橋さんの和菓子作りは、まず素材の厳選から始まる。小豆(あずき)は生産者指定の減農薬畑で栽培されたもの。卵はコクがあり臭みの無い茨城県ひたち農園の奥久滋卵(おくくじらん)を使用し、小麦粉も国産だ。
洋菓子をアレンジした商品は、どれも高橋さんのセンスが光る個性派ぞろい。和菓子が苦手な人の口にも合いそうだ。2016(平成28)年の「コーヒーを用いた和菓子のコンテスト」(※)では、チョコレート、ウイスキー、コーヒーを使用した洋テイストの羊羹(ようかん)「思い出はセピア色」(1,000円)が大賞を受賞した。
一番人気は「豆大福」(220円)。皮はもちもち、中には甘さ控えめで小豆のおいしさが堪能できる粒あんがたっぷり入っている。高橋さんのおすすめは「ラムレーズン」(260円)。ラムレーズン入りのミルクあんがクッキー生地で包まれている。洋酒の効いたあんが洋菓子を思わせ、和、洋の絶妙のコラボレーションが味わえる。
みやげにぴったりなのが、ハートの形がキュートな「はあともなか」(180円)。ミルク、シナモン、ココナッツ、抹茶、チョコレートの5種類の味が楽しめる。かわいい和菓子を作りたいという高橋さんの思いが形になった商品だ。
※コーヒーを用いた和菓子のコンテスト:味の素AGF株式会社が主催したコーヒーを原材料として用いた創作和菓子のコンテスト。2016(平成28)年から2018(平成30)年まで3回開催された