店主の吉田さんは「もともと物作りや食べることが大好き」という。2012(平成24)年春に、富士見ヶ丘駅南口から徒歩約2分のマンション1階にヨシダベーカリーを開店。店内は白を基調としたアンティークな雰囲気で、流れるクラシック音楽が耳に心地よく響く。「自分のペースで、楽しく仕事をしたい」と話す、吉田さんこだわりの空間だ。入店は一組ずつ、対面販売のスタイルをとっている。
「上質でありながらベーシックなパンを提供したい。素材は、体にやさしいものを選ぶようにし、小麦は北海道産の国産小麦を使っています」。パンの種類によって焼き上がりの時間が異なるため、タイミングを見て訪れる人が多い。ランチタイムはボリューム満点のサンドイッチが人気で、行列ができるほどだ。
休みの日には、食べ歩きをして常にアンテナを張っている吉田さん。「おいしいパンを作りたい」と日々研究する職人としての情熱が、リピートしたくなるパンを生み出し、パン好きや地域の人に愛されている。「富士見ヶ丘はのどかで静かな町。自分のスタイルに合っていますね」
「どのパンも試してほしい。特に“トロペジェンヌ”と“ブリオッシュ”がおすすめです」と吉田さんは言う。
「トロペジェンヌ」は、旬のフルーツとたっぷりのクリームをブリオッシュ生地で挟んだフランスのタルト。6月には「いちごのトロペジェンヌ」が店頭に並んでいた。なめらかなクリームが口の中で広がり、いちごの甘酸っぱさと食感がアクセントとして加わる。「冷蔵庫で冷やしてから食べてもおいしいですよ」
「ブリオッシュアテート」は開店以来改良を重ねてきた商品。卵と発酵バターをたっぷり使ったしっとりやわらかな生地は素材の旨味をシンプルに楽しめる。ブリオッシュ生地をベースにした商品は他にもあるので試して欲しい。
夕方に登場する「角食パン」(1斤410円)もファンが多い。ふっくらとした食感と、北海道産小麦の甘さと香りが楽しめる。ベーシックなものだからこそ飽きのこない味で提供し続けているこだわりの一品だ。