高円寺の「七面鳥」は、1959(昭和34)年創業の昔ながらの中華料理店。SNSのない昭和のころ、街の名店に詳しいタクシードライバーたちの間に評判が広まり、人気店になったという。家族で営んでおり、店主夫妻と息子さんが注文をテキパキとさばいていく。
「ラーメン」(500円)は創業以来の定番メニュー。さっぱりとした醤油味で、おいしさと安さが両立。このほか、湯(たん)めん、上海めん、天津めんなど、豊富な麺メニューで、常連客の心をつかんできた。
そんな七面鳥で、ラーメンをしのぐ勢いのあるメニューが「オムライス」(690円)である。中華鍋で仕上げたフワフワの半熟卵を、自慢のチキンライスにぜいたくに乗せた逸品だ。もともとオムライスは、いわゆる裏メニュー。口コミで広がり、酒場詩人として知られる吉田類さんにも紹介され、今では看板商品の一つとなっている。
「七面鳥」には、常連客なら知っている酒を楽しむための作法がある。入り口にある冷蔵庫から瓶ビールとグラスを取り出す。席に着いて、栓を抜く。ビールを注ぐと、サービスのお通しが提供される。
高円寺駅から徒歩約6分、日本唯一の天気の神様である「気象神社」、徳川家光ゆかりの「高円寺」を巡りながら、「中華料理」の暖簾(のれん)をくぐる。町中華の醍醐味(だいごみ)である昼飲み。自慢のオムライスに舌鼓を打つ。気分はさながらグルメ番組のリポーターだ。
・ランチ平均:800円 ディナー平均:1,600円