和風だし(かつお、昆布、干ししいたけ、いりこ)をふんだんに使い、かえし(※)と合わせ、独自に配合したミックススパイスを加えた「和だしそぼろカレー」。スパイシー過ぎない優しい味で、年配者のリピーターも多いそうだ。
ごはんの上には、肉そぼろ、大葉、梅干し、かつお節、揚げ玉が盛られ、さらに付け合わせの「刻んだたくあん」と「酢漬けみょうが」。一皿でさまざまな味と食感が楽しめる。
「平日昼だけ」の店主・小山さんは、割烹(かっぽう)や和食店などに勤務。ランチ限定の店を自身で始める際のメニューとして、「そば屋のカレー」を思いつく。カレーは専門外だったが、そば屋を営む先輩などのアドバイスを受け、和風カレーの開発に挑んだ。「市販のミックススパイスでは、だしの風味が負けてしまう。スパイスの配合は大変でした」。その努力が実を結び、和食の経験を生かした具材をのせたオリジナリティーあふれるカレーが完成した。
カレーは1種類のみだが、数種類のトッピングが用意されている。
「ブーたれ」は、「肉のカレーも食べたい」という常連客のリクエストに応え、豚の角煮をイメージして開発。トロっと軟らかく煮込まれた豚肉は和風カレーとマッチし、さらなる食べ応えを堪能できる。
「いわしの生姜(しょうが)煮」は、「肉のカレーができたので魚のカレーも用意しよう」とメニューに加えた。イワシの土佐煮を参考にした、甘じょっぱい味がどこか懐かしい風味をカレーにプラスしてくれる。
他にもひきわり納豆、温泉玉子、大量の国産ネギを刻んだ「ネギまみれ」があり、好みであれこれ組み合わせて楽しめる。
メニュー開発には小山さん自身の直感に加え、常連客や料理人仲間の意見なども参考にした。「これがひとまずの完成形です」と小山さんは語る。
最初は2017(平成29)年に東高円寺の古民家カフェでのランチ営業からスタート。その後、目黒のテイクアウト専門店を経て、2020(令和2)年12月から荻窪の「BAR Flourish」で、平日昼のみ間借り営業をしている。小山さんは荻窪出身とのことで「帰ってきたって感じですか?」と尋ねると、「そうですね」と照れつつ肯定。
個性的な店名は「オープン前に友人知人に業態を説明する時に“平日昼だけです”と何度も伝えているうちに、これが店名でもいいな」と思い付いたそう。
荻窪には他にも有名カレー店がずらりと並ぶが、「平日昼だけ」はワン・アンド・オンリーの個性で「カレー激戦区・荻窪」の一角を担うことになりそうだ。
・カレー:和だしそぼろカレー
・トッピング:ブーたれ、いわしの生姜煮、ひきわり納豆、温泉玉子、ネギまみれ
・席数:4席
・子連れ:可
・開業:2020(令和2)年12月
※かえし:しょうゆに砂糖やみりんを加え、寝かせたもの