拠点となる店を高円寺に構えたのはたまたまだった。玉置さんは「自分は雑多な高円寺という街が好き。個人店が強く、横のつながりや身内感があって、殺伐としていないし気取っていない。ただ、この店にとってはそんな高円寺らしさというものは特に意味を持たなくて。SNSがあってこその自分たちだから」と語る。
店内に一歩足を踏み入れると別世界が広がっている。落ち着いた内装でノスタルジックな雰囲気。カウンター席からはスタッフの活気のある様子がうかがえる。月に数回、夜24時まで営業する日があり、昼とは異なる趣の空間でカクテルなども楽しめる。
元々旅が好きだった2人が始めた出張型喫茶店は、各地の産直市場や生産者と交流しながら使用する食材を決めていくスタイル。実店舗では定番メニューのほか、そうして開発されたメニューも季節限定で提供している。
定番のクリームソーダは、透き通った空気と晴れ渡る爽やかな空を表現した「青空のクリームソーダ」(900円)。ラムネベースにレモンを加え、すっきりと仕上げている。他にも、夕暮れ時のようなグラデーションが美しい、いちご味の「茜空のクリームソーダ」(900円)や緑色が鮮やかな「懐かしのクリームソーダ」(750円)、期間限定のクリームソーダなどが用意されている。
代表メニューのスパイスカレー「旅する喫茶のチキンカレー」(1,050円)は、カルダモンなど約15種類のスパイスを使用し、チキンがほろほろになるまで煮込まれている。店主不在時はカレーに代わり「お留守番ハヤシライス」(1,100円)がメニューに加わるのが面白い。