毛利さんはその後も栄養バランスの良いメニューを追求し続け、たどり着いたのが、玄米に小豆と塩を入れて炊き、3日間以上寝かせる(保温する)酵素玄米だった。「玄米が体に良いことは知っていたのですが、子供には食べづらいと思っていたんです。当時1歳だった娘が酵素玄米をおいしいと完食したことで、これなら食べられる方が多いのではと実感しました」
この経験が後押しとなり、メニューを一新。酵素玄米とヴィーガンのメニューを中心にし、グルテンフリーのマフィンやタルトなどもメニューに加えた。また、コロナ禍をきっかけに親子カフェを終了し、弁当のテイクアウトを始めたところ、上々の反響だったという。
2020(令和2)年7月、「誰の居場所にもなれる新しい空間」を目指して店をリニューアル。カウンター7席と小上がり2席、風通しが良くなるように窓を増やし、店先にはテイクアウト用の出窓も作った。
杉並区の「健康づくり応援店」の一つでもあり、「車ふカツカレープレート」(1,480円)がヘルシーメニューに認定されている。1皿に野菜がたっぷり200g入っていて、肉や魚を使用していなくても、高野豆腐や車ふでしっかりたんぱく質を取ることができる。トマトの酸味がきいたカレーにスパイシーでサクサクな車ふカツがマッチ。酵素玄米は、1粒1粒がもちもちとした食感で後味が香ばしく、食べやすい。
このほか、「日替わりメニュー」(1,080円)で人気投票1位を獲得した「しいたけのベジ肉詰め」や「酵素玄米のおにぎりプレート」も人気だ。ご飯大盛りは80円追加、副菜大盛りは280円追加で対応可能。ごはん小盛りの対応もしてくれるので、その日のお腹と相談して量を選べる(おにぎりプレートは副菜大盛りのみ対応可能)。たくさん食べたい人やヴィーガンでない人も満足する味付けとボリュームもうれしい。
テイクアウトの好評を受け、2022(令和4)年4月にキッチンカー「レクト号」を導入。「ビーンズ阿佐ヶ谷」や中野四季の森公園に定期的に出店している。「レクト号」では、酵素玄米を使った弁当やおにぎり、おはぎのほか、ヴィーガンのスイーツなどを販売。ヘルシーメニューも「カツカレー弁当」としてテイクアウトが可能だ。
2023(令和5)年公開の映画「私たちの声」(※)では、主人公が営む弁当屋としてレクトサンドカフェが使われている。
また、2023年6月からは、土曜日のオープン前に「朝活」として、梅シロップやぬか漬け作りなどのイベントを行っている。続いて7月からは「夜活」として、経営者同士が酒を飲みながら交流できる場として「オーナー会」をスタート。「今後は、SNSを通して世界中の人に知ってもらい、垣根なくあらゆる人が出入りできる店になれたらうれしい」と毛利さんは話す。
※「私たちの声」:2023(令和5)年9月1日公開の、女性を主人公にした7つの短編で構成されたアンソロジー映画。イタリア・インド・アメリカ・日本の合作で、日本からは女優・杏、監督・呉美保が参加