Pizzeria SOL(ピッツェリア ソル)は、ライトグレーの外観が目を引く本格ナポリピザの店。相川遼太さんと沙矢香さんが新高円寺駅近くのこの店を開店したのは2016(平成28)年。遼太さんはローマのピザコンクールで世界2位(※1)、沙矢香さんは女性のみのコンクールで日本1位(※2)に輝いている、ピザ職人夫婦。ライトブルーの薪窯が存在感を放つ店内は、カウンターとテーブル4卓でコンパクトながら、イタリアの雰囲気満点だ。
ランチセットのおすすめはマルゲリータ。窯に入れて1~2分で焼き上がるピザは、ナポリピザの特徴であるふんわりとふくらんだ耳の焦げ目が香ばしく、たっぷりのトマトソースにモッツァレラチーズがとろける。セットのルッコラサラダはフレッシュで爽やかな味わい。「夜は自然派イタリアワインやピザ以外の料理も楽しめますよ」と遼太さん。
遼太さんは東京都内の3店で修業した後、ピザ職人として独立。「イタリアではピザ職人は、ピザ生地職人、ピザを焼く職人などと細分化されているんです。一つ一つの工程が大事なんですね。日本はイタリアよりも湿度が高く、しかも毎日違う。生地を準備し、薪釜に火を入れ、ピザを焼いてお客様に出す、全ての工程で生き物を扱うようにピザと向き合っています」
生地は約10時間発酵させた後に冷蔵庫で2日間ほど寝かせ、焼く直前に手で伸ばす。トマトやチーズはイタリアから、葉物は厳選された国産野菜。技術と素材がマッチした遼太さんのピザは、本場イタリアの世界大会でも認められた味だ。「毎日ピザと向き合うことは大変ですが、楽しいですね」と遼太さんはにこやかに話す。
沙矢香さんは調理師学校を卒業後、ある店のピザ職人を師匠と仰ぎ修業を始めた。その後別の店で4年半働いたが希望するキッチンの仕事になかなか就けず、再度師匠の元へ。さらに修業を重ねて腕を磨き、女性だけのコンクールに出場。みごと日本1位となった。「コンクールで作った創作ピザは、酸味・辛味・甘味などいろいろな味が融合した“ピッツア フォルテ”という名のピザ。いろいろな経験を踏まえた女性の強さと優しさを表現しました」と沙矢香さん。その後、客として行った高円寺のピザ職人のいる店で遼太さんと出会い、結婚。Pizzeria SOLでともに働くことに。子どもが生まれてからは、子ども向けのピザを考案するなど、新メニューの開発にも余念がない。
新高円寺に店を開店した決め手は遼太さんが以前から親しみのあった街だったこと。「杉並は公園も多く住みやすいですね。この近くにも蚕糸の森公園があります。ピザをテイクアウトして公園で楽しんでもらうのもおすすめです」店休日はレシピの研究のため、食べ歩きに行くことも。「おいしいと聞くと、遠いところでも食べに行きます」
今後は新メニューの開発に力を入れることはもちろん、店舗を増やすことも視野に入れているという。イタリアのコンクールにも二人で挑戦を続けている。おだやかな人柄の二人だが、ピザにかける思いの熱さは薪窯の炎にも引けをとらないようだ。
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すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>杉並区立蚕糸の森公園
※1 ピッツアワールドカップ '24 ピッツアフリッタ部門 2位
※2 ポンティコルヴォ杯 '18 1位