高円寺駅南口から徒歩約2分の麺屋かむいは、生姜醤油ラーメンの専門店だ。スープを口に運ぶと生姜の香りがふわりと優しく立ち上がり、辛味やツンとした強い刺激はほとんど感じない。「醤油ラーメンに後から生の生姜を入れるのではなく、スープを作る時に入れるんです。熱を加えることで辛味や刺激は低減されてまろやかになります」と、店主の渡邊さん。
スープは甘さとコクがあり、生姜の風味で後味は爽やか。生姜は国産のものを厳選し、麺はスープに合う中細のストレート麺。ホウレン草やメンマなどの具の組み合わせは、生姜醤油ラーメンの本場、新潟県長岡市のラーメンをリスペクトした王道スタイル。チャーシューはいろいろな食感を楽しんでもらうため、あえてふぞろいな切り方をしているという。渡邊さんの日々の研究が生んだ絶妙なバランスが味わえる一杯だ。
「店名の“かむい”は響きが良かったから。出身は北海道かと聞かれますが、秋田です」と渡邊さんは笑う。新潟県長岡市の生姜醤油ラーメンの味にほれ込み、10年間新潟県内のラーメン店で修業した後、2021(令和3)年2月に高円寺で麺屋かむいを開店した。生姜醤油と書かれたのれんを見て気になった人が来てくれたら、との思いから全く宣伝せず、ひっそりとスタート。ラーメン激戦区の高円寺を選んだ理由は「ラーメン好きの人がたくさんいるんだな、っていう前向きな考えで。実際、ラーメン好きの層が厚いと思います。年配の方や若い女性一人での来店も多いですね」
店の外壁は明るくカラフルだ。これは街のプロデューサー・大黒健嗣さんが手掛けた「Mural City Project Koenji」の壁画の一つで、店の目印になっている。
生姜の効果で体がぽかぽかと温まる生姜醤油ラーメンは、高円寺でファンを増やし続けている。