アートスペースの奥のショーケース。選ぶのが楽しい商品ぞろい
丹羽さんは愛知県出身。さまざまなベーカリーで20年ほどアルバイトを続け、パンの製造・販売の経験を積んだ。阿佐谷に住んでいた時に、ベーカリーだった店舗が空き、思い切って開業した。「前の店はパン教室のためのスペースがあり、壁が白くてきれいなので、ギャラリーにしたら面白いと思いました。元々イラストを描くことが好きで、アートに興味があったんです。店名は好物のパン、ブリオッシュからとり、覚えやすいようにブリと短くしました」。インテリアを少しずつそろえ、好みの空間を作り出した。
阿佐ケ谷駅北口から松山通りを徒歩約15分。散歩途中に偶然見つけて以来、通りがかりには必ず立ち寄ってくれる顧客も多いとのこと。希望すれば、購入した商品をその場で食べることができる。ギャラリーのような空間で、プチくつろぎタイムを過ごしてもいいだろう。
丹羽さんのモットーは、添加物を使用しない体に優しいパン作りだ。国産の小麦粉や全粒粉、銘柄を決めたバターなど素材にこだわるだけでなく、惣菜パンのフィリングの味にも心を配っている。「なるべくコンソメなどの調味料を使わず、塩・こしょうをベースにして素材のおいしさを生かしています」
ほうれん草たっぷりの「カルツォーネ」(270円)、小腹がすいたときにつまみたい優しい甘さの「カボチャパン」(70円)、顧客のリクエストから生まれた、ブリオッシュ生地の中に和と洋がコラボレーションしている「クリームチーズとあんぱん」(240円)、焼くと中のもちもち感がアップする「天然酵母のくるみクランベリー」(320円)など、多様な食感と味わいを堪能したい。季節のイベントに合わせた限定商品もおすすめだ。
ギャラリースペースでは、顧客による音楽のミニライブや編み物の会などが開催され、ささやかな地域の交流の場になっている。店内の壁を飾るのは、丹羽さんが描いた常連客のイラストだ。開店以来支えてくれた多くの人への感謝を込めているとのこと。店主と客との距離が近いのも、このベーカリーの魅力の一つだ。新商品など店の情報は、公式Instagram(インスタグラム)でチェックできる。
「杉並の人は優しく、よくしてもらっています。つながりを深めて、さまざまな催しができるベーカリーになればうれしいです」と丹羽さんは抱負を語る。情報発信の場としてのベーカリーの今後が楽しみだ。