
本やアートが並ぶ落ち着いた店内
東高円寺駅から徒歩約2分。東高円寺駅通り商店会から一本入った通りにある隠れ家のような喫茶室ミミタム。バリスタ歴15年以上のご主人、光好さんと純喫茶やレトロなものが好きな女将の紗貴さんが2人で切り盛りしている。
2018(平成30)年12月にオープンした店だが、店内には料理やコーヒーに関する古書や漫画、絵本や絵画が飾られており、どこか昔懐かしい純喫茶の雰囲気。「内装やインテリアはほぼ私の趣味です。主人はどっちかというと職人気質な感じなので、コーヒーは主人に任せて基本的な空間デザイン的なところは私がやりたくて。自分たちの好きなものを好きなようにやったら、時代に少しはまったかな」と紗貴さんは話す。
本格的なエスプレッソマシンを置いているのは、喫茶店としては珍しいそう。「エスプレッソ系のドリンクを置いてるところはほぼないので、そこの点は結構うちの強みかなと。(光好さんの)専門がコーヒーなのでドリップコーヒーとか、ラテアートがあるカフェラテとか、その辺がおすすめではあります」と紗貴さんは語る。オリジナルコーヒーカクテルもあるのでお酒目当てで来店する方も。
りんごジュースや紅茶、抹茶ラテ、ココアなどコーヒー以外のメニューも豊富。ポットで提供されるホットティーをゆっくり楽しむ人も多い。清澄白河の紅茶専門店TEAPONDの茶葉を使っており、フレーバーティーやフルーツティーは季節によって仕入れるものを変えている。
人気メニューは好きなドリンクにプリンが付けられる「ミミタムプリンセット」だ。「ここのプリンが好きなんです、って言ってくださる方は多くって。素材がすごいシンプルなので、昔懐かしい感じの素朴な味。あとは喫茶店らしいナポリタンとかその辺の定番メニューをランチで利用される方が多いです」。
フードはなるべく化学調味料や加工品を使わず、素材をそのまま使用、できる限り自分たちで手作り。自家製パンは店主の光好さんが国産小麦粉を使い、時間をかけて丁寧に作っている。
また、器は主にアデリア(※)のグラスや食器を使用している。昭和に発売されたアデリアのビンテージ食器、その後発売されたレトロシリーズの両方を使っており、こちらも店の雰囲気のひとつとなっている。
アデリアは、偶然担当者が来店したことがきっかけで、2020(令和2)年から食器の販売を始めた。また、皆で話しをしながらアデリアレトロのグラスを作るワークショップも開催している。ワークショップは1人参加限定にしており、参加者同士で交流が図れる場となっている。
客層としては地元住民の利用が多いが、近所のライブハウスの演者が衣装のまま来店したり、アデリア好きがわざわざ遠くから足を運んだりすることもある。敷居の高くない店舗にしたかったという夫婦の思い通り、コーヒー好きの方や、落ち着いた喫茶店が好きな方、レトロ好きな方など多くの人に愛される喫茶店だ。
※ アデリア:石塚硝子株式会社が1961(昭和36)年から販売していたガラス食器ブランドで、当時の食器はビンテージとして人気がある。2018(平成30)年からは、昭和のレトロな柄を復刻したアデリアレトロシリーズを販売