「オーロラ」の碑の原石はポルトガル産のとても美しいピンクの大理石です。杉並に住んだ時期もあり、公民館が水爆禁止運動発祥の地であると知っていたが、まさか、その記念碑を自分がつくるとは想像もしていませんでした。制作期間は半年ぐらいでした。制作の依頼は、1990(平成2)年に杉並区平和都市宣言の記念像「ジーンズ」を制作された佐藤忠良先生の御推薦だったと、後で知ったのです。「オーロラ」制作以前の5~6年間は「石の空」と言うタイトルで作品をつくっており、長野県美ヶ原高原に、殆ど大きさも同じ姉妹作品が現在も展示されています。大理石は、軟らかく長い年月の間に風化するが、また磨けば光沢が戻る。オーロラは、自然現象で美しい!美しいものが壊されていく、美しいものが原子爆弾で破壊されていく・・・と言う意味を込め「オーロラ」と名付けたのです。
(インタビュー実施日:2014(平成26)年8月18日、アトリエにて)
瀧 徹(たき とおる)プロフィール
1942年 京都市に生まれる。
1964年 東京芸術大学美術学部彫刻科卒業
1966年 東京芸術大学大学院美術研究科修了
1983年 第3回ヘンリー・ムーア大賞展・佳作受賞
1985年 第4回ヘンリー・ムーア大賞展・彫刻の森美術館賞受賞
国内外の数多くの展覧会に出展し、出雲市、昭島市、長野県、千葉県などに代表的な彫刻作品がある。