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マグナ通信工業株式会社

マグナカルタを由来とし、社員一人一人の希望を尊重

イギリス(当時イングランド)国民の権利と自由の確保を目的に1215年制定されたマグナカルタ。世界史の授業で学んだはずだが、日常生活では耳にすることもなくなったどこか懐かしい響きだ。この世界記憶遺産(2009年7月登録)であるマグナカルタを社名の由来や社の存在意義とし、社員一人一人の希望を尊重している企業が代田橋にある。
マグナ通信工業株式会社(以下マグナ通信)とはどのような会社であるのか、顧問の門脇愼吾さんに話を伺った。

杉並区内の企業が通信業界を牽引!?

「当社は1964(昭和39)年、東京オリンピックの年に創業しました。おもに大規模施設の通信システム、セキュリティ管理に必要な機器や情報の一元管理システムの開発や現場での施工をしています。実はこの分野では実績もあり、国を代表するような施設の管理プロジェクトにも参加しています。なかなか一般の方の目にふれることのない裏方企業ですが、それなりに自信をもって経営しています。」
目に見えない業務内容だけに想像しにくいのだが、わかりやすい具体例に監視カメラシステムの開発がある。監視カメラの設置は街なかでの犯罪捜査等におおいに役だっているが、マグナ通信では、より大規模な施設に対応するシステムを手がけていると言う。
「大規模な管理システム構築には緻密な設計と施工が必要です。それらの経験、実績のある企業は少なく、当社は特に施工部門が充実していることから信用いただいています。また、同じ杉並区の久我山にある岩崎通信機株式会社さんは設計面での代表格ですから、実は杉並区は通信分野で注目の存在なんですね。」
大規模なページング(※)を設計製造できる企業は少なく、トップクラスの企業が区内に2社もあることは驚きである。

※ページング:連絡系統を相互通話、複数通話、緊急配信など、設置する企業や作業環境に応じてカスタマイズする通信指令システム

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 産業・商業>岩崎通信機株式会社

門脇愼吾さん

門脇愼吾さん

杉並本社

杉並本社

映像監視システムと指令通話システム

マグナ通信は、自社製だけでなく他社の機械を設置する工事も請け負っている。納入先は空港や発電所などだ。「空港のような大規模設備に、他社から請け負った監視カメラの設置工事をするのが得意です。旅客ターミナルや滑走路などにかなりの数を付けて、それを定期的に交換しています。長年の経験と技術、管理能力があるので、我が社に声がかかるのでしょう。」杉並区の防犯カメラ設置数は、商店街で330台以上(2015年・警察署調べ)。2014(平成26)年からは通学路にも設置しており、杉並警察署によると「東京都内でも多いほうである」とのこと。犯罪やテロに備えて、マグナ通信も区内警察3署合同の防犯カメラ設置推進に協力しているそうだ。
また、発電所や大きな工場には、頑丈な電話機のようなページング装置を設置している。このシステムを使えば中央制御室と現場、または現場同士で、一対複数での会話が可能だ。「普段は電力会社の定期検査で使うものなのですが、2011(平成23)年の震災時に思わぬ力を発揮しました。中央制御室から各現場に『逃げろ!』という指示を一斉発信できたのです。」東北電力では、このシステムのおかげで助かったという声も挙がっている。「震災では当社も少なからず打撃を受けましたが、反面、当社製品の活躍の場が広がり、部分的に事業は伸張した点もあります。」

監視システム制御装置

監視システム制御装置

水力発電監視システム

水力発電監視システム

社内に受け継がれるマグナの精神

初代社長・末村満生現会長は、子供時代に山口県出身の父・四郎氏から「人を大事にしなさい」と教えられ、自らが起業した際にその言葉を胸に「社員みな平等に伸びやかに働いて欲しい」と冒頭の「マグナ」を社名にしたが、その意思は現在も受け継がれている。
会議を頻繁に行い、合意形成していくのもその一つ。「打ち合わせを自主的にしてもらい、みんなの意見を吸い上げて民主的運営を第一にするのは会社の経営方針です。小さな会議、大きな会議、頻繁に顔を合わせてはディスカッションを重ねることで風通しのいい雰囲気になります。」
社員の平均年齢は40歳。仕事柄、遠隔地の現場に出向くことも多く、若手社員のパワーはとても重要だ。
社長は二代目の末村秀樹氏が継いでいる。22歳で入社し、営業や現場を経験しながら実績を積んだあと、2002(平成14)年に38歳の若さで社長に就任。「あまり上からガーンと言わずに、自主的に考え行動させてくれます。」先代が抱いていた想いを、現社長も大切にしている。
また先代は、本来の事業とは関係ないが法人会の「源泉部会」を手伝っていた。源泉徴収の推進を目的に、研修会や説明会等を行う活動だ。40歳の頃に近隣の企業から誘われ、同じ地域で活躍する企業の手助けになればと関わったと言う。無理なく継続できる地域貢献として、現在は門脇さん自身も副部会長代行として企画や募集などを担っている。

会議は週に数回行われる

会議は週に数回行われる

ネットワークの保守点検

ネットワークの保守点検

全国展開を目標に

これまでマグナ通信は東北、関東、中部、北陸など東日本の施設を中心に業務を展開してきた。次なる目標は、「そろそろ東北部だけでなく全国規模の発展を目指す」ことだそうだ。2014(平成26)年に大阪事務所、2015(平成27)年に仙台営業所を開設し、着々と足がかりを築いている。杉並発の通信社が、優秀な人材と堅実な実績で、日本の安全管理をリードする時代が来るかもしれない。

今後は全国へ展開

今後は全国へ展開

DATA

  • 住所:杉並区和泉1-22-1
  • 最寄駅: 永福町(京王井の頭線) 
  • 公式ホームページ(外部リンク):http://www.magna.co.jp/
  • 取材:小泉ステファニー
  • 撮影:TFF、写真提供:マグナ通信工業株式会社
  • 掲載日:2015年03月16日
  • 情報更新日:2021年07月28日