善福寺川の中程にある東京都立善福寺川緑地。下流に続く和田堀公園と共に、1964(昭和39)年に開園した。春には約400本の桜並木が美しく、毎年、多くの花見客でにぎわう。中でも五日市街道沿いにある尾崎橋からの眺めは見事。一度は訪れてみたい花見スポットである。
尾崎橋は江戸時代から架かっていたといわれ、五日市街道を通って小金井の桜見物に出かけた江戸の文人たちの随筆などにも登場する。川の上流に向って左側の台地が「尾崎」と呼ばれ、突き出した台地の先端(小崎)を指す古い地名「おさき」からきている。また、この辺りは五日市街道が通るまで、急な坂道や角張って曲がった道筋で「尾崎の七曲り」と呼ばれる難所でもあった。近隣にある庚申堂(こうしんどう)には、区指定文化財の地蔵菩薩(じぞうぼさつ)、馬頭観世音が安置されており、街道を行き来する馬が休む場所だったといわれている。
園内を流れる川の水は澄んでおり、セグロセキレイ、ハクセキレイ、コサギ、春にはカルガモ親子の姿が見られ、訪れる人々の心を和ませてくれる。
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全長約4.2㎞、川沿いに広がる公園には、樹木や草地のある緑地広場と遊具のある広場が交互に配置されており、お気に入りの広場を見つけるのもいいだろう。ケヤキに囲まれた「センター広場」、軽い運動のできる「仲よし広場」。子供たちに人気なのは、飛行機型ジャングルジムがある「ヒコーキ広場」。運転席に座れば飛行士気分、いつもの景色も違って見えることだろう。ストレッチや屈伸運動などができる健康遊具も所々に設置されており、散歩やジョギング中に立ち寄る人も多い。
園内には桜のほか、コブシ、ハナミズキ、サルスベリ、キンモクセイ、サザンカ、ツバキなどの花々、ケヤキやイチョウなどの新緑、紅葉も美しく、四季折々の風景を楽しめる。また、園内のどんぐりを使った工作教室「どんぐりイベント」や、植物や昆虫、鳥類について専門ガイドの解説を聞きながら歩く「自然観察会」など、さまざまなイベントも開催している。
カメラ片手に散歩を楽しむもよし、木陰でのんびり過ごすもよし、落ち葉を踏みしめて歩くもよし、川べりをサイクリングするもよし。有料のテニスコートや野球場(大小2面)も利用できるほか、区立杉並児童交通公園も隣接し、今日はどこで何をしようかと考えるのも楽しい公園である。