高いCG技術を生かし、幅広いアニメ・映像作品を生み出している株式会社 武右ェ門(ぶえもん)は、2024(令和6)年に設立10周年を迎えた。
代表取締役・プロデューサーの髙山清彦さんに、阿佐谷にあるスタジオで話を伺った。
荻窪にあった株式会社サンライズの「スチームボーイスタジオ」が当社のルーツです。「スチームボーイ」制作後も一緒に作品作りをしていたCGスタッフと共に 、2014(平成26)年にCGを使ったアニメーション制作をメインとする会社を設立しました。
最初にスタジオを構えたのは阿佐谷のパールセンター内です。土地勘があったことに加え、アニメーションの制作には音響、収録スタジオなど他社との連携が欠かせないのですが、その点でも杉並の立地の良さは魅力でした。
現在のスタジオも阿佐ケ谷駅の近くなのですが、近所に飲食店が多く、活気のあるところが気に入っています。スタッフとはよく近所のお店にもお邪魔しているんですよ。自宅も近いエリアにあり、住宅地としての住み心地の良さも実感しています。
3DCGを使用したアニメーション制作を得意とする会社です。作画をメインとしたアニメ作品でもCGを使うことが増え、業界でもCGを扱う会社は増えてきていますが、当社は前身の「スチームボーイスタジオ」の出身者をはじめ、作画アニメの良さも知っているCGクリエイターが多いことが強みだと思います。
CGというと、「OBSOLETE」に代表されるようにメカニック系のアニメが多いと思われがちですが、「風の又三郎」のように温かみのある世界観も、CGの技術が加わるからこそ表現できることがあるんです。風に揺れる草の動きがより滑らかに見えるような、ニュアンスをより子細に伝えることができます。今まで作画のアニメで培ってきた表現方法にCGを加えることで、映像表現により深みを出すことを目指しています。
作品をつくる仲間が楽しんで取り組めること、見てくれる人が喜んでくださること、シンプルですがこの点を大切にしたいと思っています。
以前、知人の紹介で「風の又三郎」をアフリカで上映していただく機会があったのですが、現地の子どもたちがとても喜んでくれたと聞きました。言葉は理解できなくても映像を通じて伝わることがあります。私たちもさまざまな作品を見て「あの作品のここがいいよね」と熱く語り合うことがありますよね。作り手としてもアニメを愛する者としても、魂の宿った作品をこれからも作っていきたいと思っています。そのために若手の育成にも力を入れ、技術だけでなく、ものづくりへの向き合い方や思いのような部分も伝えていきたいと考えています。
やってみたいことはたくさんあるのですが、まずは地に足をつけて一つ一つの作品を大事に取り組んでいきたいですね。気持ちを込めて取り組んだ作品は、きっと100年後の人が見ても面白いと思ってもらえるはず。また、世界中の人に当社の作品を楽しんでもらいたいという気持ちを持っています。「OBSOLETE」はYouTubeで配信しているのですが、各国の方からコメントを寄せていただいて本当にありがたく思っています。
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