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荻窪三庭園で映える写真を撮ろう(荻外荘公園)

場所の切り取り方でいろいろな写真が撮れる荻外荘

場所の切り取り方でいろいろな写真が撮れる荻外荘

荻外荘公園の「映えスポット」で撮影に挑戦

2024(令和6)年12月に杉並区立荻外荘公園(てきがいそうこうえん)が開園し、荻窪三庭園(※)がそろい踏みとなった。
「荻窪三庭園で映える写真を撮ろう(大田黒公園・角川庭園)」ではフォトグラファーのやまかわけんいちさんに指導を仰ぎ、映える写真の撮り方にチャレンジ。「印象に残ったものを記録ではなく、"行ってみたいね"と思ってもらえるように撮影するのがポイント」とレクチャーを受けた。荻外荘公園における「映えスポット」では、どんなすてきな写真が撮れるのだろうか。今回もやまかわさんに同行してもらい、撮影のこつを伺った。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>荻窪三庭園>荻窪三庭園で映える写真を撮ろう(大田黒公園・角川庭園)
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応接室の敷瓦(しきがわら)には龍があしらわれている。近寄って撮影してみよう

応接室の敷瓦(しきがわら)には龍があしらわれている。近寄って撮影してみよう

龍のモチーフを目立たせる超ローアングル

荻外荘(近衞文麿旧宅)は、建物や内装の意匠が見応え十分で、写真を撮りたくなる。やまかわさんは「建物の構造や置物などのシルエットなどを意識しながら撮ると、訪れたくなる写真が撮れますよ」と話す。応接室や客間、外観など、荻外荘の撮影で押さえたいポイントを順に紹介しよう。
まずは荻外荘の東端に位置する応接室だ。天井画と床の敷瓦にあしらわれた龍のモチーフが面白い。モチーフを資料として撮影するなら、その真下や真上から可能な限り真っすぐに撮影して細部を記録しよう。敷瓦は、漫然とシャッターを切ると小さくなってしまい、何が写っているかわかりづらい。そこで龍が目立つように超ローアングルで構図を決めると、ユニークなイメージに仕上がる。どのアングルで撮るか試すのがよい。この時、室内の家具や、他の観覧客に十分注意することが大切だ。

ぐっとカメラを床面に近づけて撮影する。写真右はデジタルカメラで撮影(撮影:やまかわけんいちさん)

ぐっとカメラを床面に近づけて撮影する。写真右はデジタルカメラで撮影(撮影:やまかわけんいちさん)

客間は画角に注意しバランスよく撮る

客間は「荻窪会談」などが行われた場所で、歴史の舞台となった部屋。きれいに撮影したいが、部屋が広くカメラの画面に収まり切らないこともある。その時は自分が後ろに下がってカメラを構え、他の観覧客やガラス窓にぶつからないようにくれぐれも注意しながら、適切な場所を探す。それでもうまくいかない場合、スマートフォンに広角レンズが搭載されていたら切り替えて撮影するのもおすすめだ。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 歴史>戦争のつめ跡・戦争体験>荻外荘(近衞文麿旧宅)

上:通常の倍率で撮ると一部が見切れる。下:約1.5倍の広角レンズだと全景が収まる

上:通常の倍率で撮ると一部が見切れる。下:約1.5倍の広角レンズだと全景が収まる

壁紙も床の木目も生かしながら食堂を撮影

客間を見学した後は、食堂へ移動。10人が同時に席に着ける大きなテーブルや食器棚をうまく画面に入れ込んで撮影したいが、バランスを取るのが非常に難しい。食堂南側の廊下から食堂を見て、カメラの高さを変えながら周囲の状況にも十分配慮し、ちょうどいいアングルを見つけよう。また、テーブルの奥に回り込み、外へ向かって撮影しても面白い。「食堂全体が逆光気味に捉えられ、印象的な1枚が撮れますよ」
視線を上に向けると、独特な模様の壁紙が目に入る。下を見れば木目のテクスチャーが特徴的。これらもカメラの角度をさまざまに変えながら撮影すると楽しい。

立つ位置を変えると同じ食堂でも見栄えが変わる

立つ位置を変えると同じ食堂でも見栄えが変わる

壁紙のデザインもキュートで撮影したくなる

壁紙のデザインもキュートで撮影したくなる

伊東忠太意匠のガラス戸にも注目

建物内の細部では、特に伊東忠太(いとう ちゅうた)の特徴的な意匠が施されたガラス戸にも注目したい。建物は採光のため南向きで、ガラス戸を通して陽光が室内に降り注ぐ。ハートにも見えるひし形の重なりが特徴的な窓枠や美しい欄間は、荻外荘の「映えスポット」の一つだ。「逆光になるのは仕方ありません。そこで木の枠組みのシルエットが出るように心がけて撮影してみてください」

レトロなイメージの木枠を捉える

レトロなイメージの木枠を捉える

梁(はり)や柱が目立つ部屋は縦横のラインに気をつける

食堂の次は居間へ向かう。柱が目立つ室内での撮影は、縦横のラインがゆがまないように注意する。「柱や梁が曲がっていると違和感が出ます。真っすぐになるよう確かめて撮影してください」。また、透かし彫りなど繊細な装飾は、暗い場所を避けて背景がきれいに抜ける角度を探して撮影しよう。獅子の置物を撮影する時は、単に上から撮影するのではなく、目線を合わせたり置物に寄ったりして、表情豊かな写真に仕上げるのがこつだ。周囲の様子に十分気を配りながら、ベストな位置を探してほしい。

画面のグリッド線を活用して縦横ラインを合わせる

画面のグリッド線を活用して縦横ラインを合わせる

右:上から撮ると獅子の表情が見えない。左:撮る位置を変えると表情が出てくる

右:上から撮ると獅子の表情が見えない。左:撮る位置を変えると表情が出てくる

庭を背景に小ぶりな菓子を撮影

室内の見学を終えたら喫茶室のお茶と菓子で一服。菓子は小ぶりなスタイルでかわいい。窓際の席に座れたら、庭を背景に入れ、手前の菓子にピントを当て背景をぼかすように撮影するのがおすすめだ。撮影した写真の暗さが気になる場合は、手持ちの白っぽい小物で光を反射させ、菓子に当てて明るさを補おう。

食べ物は角度に注意し明るめに撮るとおいしく見える。写真上はデジタルカメラで撮影(撮影:やまかわけんいちさん)

食べ物は角度に注意し明るめに撮るとおいしく見える。写真上はデジタルカメラで撮影(撮影:やまかわけんいちさん)

外観は時間帯や天気を考慮して狙う

最後に荻外荘の外観を撮影するため、南側の芝生広場へ。取材時は芝生が養生中で中に立ち入れず、建物に近づいて撮影することは難しい状況だった。こうした場合は、それを逆手に取り、カメラをズームして建物の特徴的な部分を切り取って撮影するとよい写真が撮れる。
また、季節によってはフェンスに絡む色づいた葉を入れ込み、画面を華やかにして建物を際立たせる方法にも挑戦しよう。やまかわさんは「夕暮れ時なら窓からこぼれる明かりをアクセントに使えます。時間帯や天気を選んで、建物の新たな表情を引き出してみてください」とレクチャーを締めくくった。

※芝生広場は2025(令和7)年6月ごろまで芝生養生中のため入れません

※ 荻窪三庭園:区立大田黒公園、区立角川庭園、区立荻外荘公園

曇天や冬枯れの芝生を入れ込むと、全体的に地味な色合いの写真になるので避けたい

曇天や冬枯れの芝生を入れ込むと、全体的に地味な色合いの写真になるので避けたい

建物はカメラをズームしたり葉をアクセントに入れたりして撮影する。写真下はデジタルカメラで撮影(撮影:やまかわけんいちさん)

建物はカメラをズームしたり葉をアクセントに入れたりして撮影する。写真下はデジタルカメラで撮影(撮影:やまかわけんいちさん)

DATA

  • 最寄駅: 荻窪(東京メトロ丸ノ内線)  荻窪(JR中央線/総武線) 
  • 出典・参考文献:

    「公園で撮影をする場合(写真の撮影、動画の撮影)」(杉並区公式ホームページ)
    https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/machi/kouen/1005025.html

  • 取材:水野二千翔
  • 撮影:水野二千翔、やまかわけんいち
    取材日:2025年02月03日
  • 掲載日:2025年03月17日