ガーデンゴルフの生みの親である岩崎保さんが、このスポーツを考案したのは、日常風景のひとこまからだそうだ。ある日、ご自宅の庭で、お子様がビリヤードの玉を土の穴の中に入れて遊んでいるのを見かけたのがきっかけ。
また、ガーデンゴルフという名称は、庭に植木鉢を埋めてコースを造ったことからつけられたもの。岩崎さんは考案しただけでなく、競技の用具一式を様々な場所に寄贈、東京都、外務省、各国大使館に働きかけ国際ガーデンゴルフ協会を発足させた。杉並発祥のスポーツは、日本国内のみならず、海外にも愛好者を増やし、平成17年3月に第1回ガーデンゴルフ国際交流大会が開催されるまでになった。
●ガーデンゴルフの歴史と大会歴
ガーデンゴルフというスポーツを通して国際交流を行うと共に、公園の新しい活用方法を国内外に紹介することを目的に平成15年に国際ガーデンゴルフ協会が設立された。
また平成17年以降は毎年日比谷公園を会場に「ガーデンゴルフ国際交流大会」が実施されている。
詳細な活動は一般社団法人 国際ガーデンゴルフ協会ウェブサイトで確認ください。
競技方法は、とても簡単。ヘッド部分がゴム製の専用ゴルフクラブでビリヤードの玉を転がし、地面に埋めたカップに入れる打数を競うというもの。場所によっては制約があるため、地面にカップを埋めるかわりに通常ゴルフの練習用カップを地面の上に置いて競技することもある。
一般のゴルフと異なるのは、コースを手作りできること。自然の地形をいかした公園の林や広場、学校のグランドはもちろんのこと、ちょっとした空地や自宅の庭など身近な場所をコースに早変わりさせられる。
植木鉢の配置は、状況に応じて自由に設定が可能で、オリジナルのコースを作ることができる。既存の場所を手を加えずに利用することで、コースの維持費がかからないだけでなく、環境にも優しく、まさに今の時代の流れにマッチしたスポーツだ。
3、4人のグループでプレイするので、打つ楽しさに加え、メンバー間の交流という楽しみも。グループの構成を工夫することで、普段は接する機会の少ない人との交流も可能になるかもしれない。
得点は自己申告制のためプレイヤーが各自得点をシートに書込み、最後に全員で得点を確認しあい勝敗をきめる紳士的なスポーツでもある。スポーツなのに計算作業もあり子どもを持つ保護者からもバランスのいいスポーツとして好評を博している。
「ガーデンゴルフ」はそもそも瞬発力、体力を気にせず気軽にできるスポーツであることから、自然とゆうゆうとした雰囲気になる。
親子で参加しても実際には別な家族とグループになることもあり、ちょっとした情報交流などでき楽しそうだ。
区立和田小学校は、このガーデンゴルフをいつでも楽しめるよう3ホールのコースとルールを紹介する案内板が常設されている。国際ガーデンゴルフ協会から15組の用具が寄附され、学校開放や放課後に楽しむことができる。本来ガーデンゴルフは林間コースがベストだが校内ではなかなか難しく大きな樹木を障害物にみたて花壇のなかにコースが造られている。それでもホールインワンをめざし多くの子どもたちが手に手にクラブを持って練習するそうだ。
「あまり腕力など要せずに大人と対等にできる競技は少ないので子どもたちに覚えて欲しいと放課後など自由に体験できるようにしました」と今回の競技会運営を支える和田小学校の関係者は語ってくれた。
また本会では、和田小学校と隣接する杉十小学校も一緒に運営を支援している。各校の校長・副校長、和田小学校オヤジの会が携わり地域が一体となって盛り上げている。「この場に来てくれる方から国体(デモンストレーションとしてのスポーツ行事)に参加してくれると嬉しい」とは国際ガーデンゴルフ協会の会長でもあり、この競技を発案した岩崎さん。
※和田小学校の常設コースは現在は無くなっています
参加者にガーデンゴルフをはじめたきっかけをたずねると
「学校で配られたチラシに興味をもって」
「サッカー練習の前に時間があってちょうど良かったから」
「私服でいいし、用具もなくて手ぶらで参加できるから」
など気負いのない回答が多かった。
しかし一度体験すると「ビギナーズラックでホールインワンしたのがものすごく嬉しかったらしく次はいつ?と、とても楽しみにしています」また「できそうでできない、できなさそうでできる、手の届く悔しさが子どもには、ちょうど良かったようです」とガーデンゴルフの魅力にはまって通うようになるお子さんが多いようだ。
継続性の点では、「何といっても自分の通っている学校で体験できることが一番、まだ小さいので親が付き添って行けることも重要です。」と語る保護者もおり、気軽なスポーツだけに体験できる機会や場所が身近にあることが普及のポイントだ。