30年前から全国地域別に刊行されている、郷土出版社の『100年』シリーズ。その杉並区版が、区政80周年にあたる2012年に発売された。「写真はその時代を如実に語る貴重な郷土資料です。そこには失われた風景、町並み、祭り、日々のくらしがあり、そして先人たちの努力、知恵が隠されています。それらを本書を通して次代に伝えていければ」と、郷土出版社の辻正道専務。まず、杉並の書店組合を訪ねて協力を得たのち、書店の紹介先、老舗のお店、区役所、個人宅など、区内をくまなく歩いて資料を集めたとのこと。こうして得た中から厳選した350枚の写真と、元杉並区立郷土博物館職員をはじめ、地元に詳しい方々の解説で、現在に至るまでの杉並の100年を振り返っている。明治時代の蚕糸工場や、戦時下の国民学校の様子、阿佐ヶ谷文士たちの横顔、農村時代の牧場風景等、興味を引く写真は多い。「この本を通して、ふるさと杉並の良さを再発見し、将来の杉並を考えていただければ幸いです」(辻専務)。杉並の歴史を知るための資料として活用できそうだ。区内にある全図書館で閲覧も可能。価格10,260円(税込)
※郷土出版社は2016(平成28)年2月閉業