西武新宿線鷺ノ宮駅の南、妙正寺川のほとりに社殿を構える鷺宮八幡神社(さぎのみやはちまんじんじゃ)。1064年に源頼義が源氏の隆盛を祈願して創設したと言われている。後年、この地を統治していた今川家の功績により、江戸幕府から朱印領(年貢などを免除された土地)を拝領し、格式高い神社として人々に崇敬されてきた。
今川家の姫の嫁ぎ先が、現在宮司を務める篠さんの先祖に当たる。篠家は代々、農家の子供たちに読み書きを教える寺子屋を開くなど、村のために力を注いできた。今も地域の人々の願いを聞き入れて祭りの日程を夏休みの8月に変えたり、奉納の舞としてベリーダンスやフラを受け入れたり、空手を教えたりと、その開明的な精神は受け継がれている。
神社を取り巻く環境は時代と共に変わる。鬱蒼とした鎮守の森の面影はとっくに消え、最近では、東日本大震災の影響でやむなく石の鳥居を建て替えもした。それでも地域の人々に寄り添う神社のあり方は変わらない。