天沼中学校独自の国語教育用の冊子が出版され好評だ。古今東西、日本の文学作品を中心に、『いろは歌』に始まる100タイトルの名文・名句が、ことだま百選として再編集されている。先生方が生徒の暗誦用に厳選したもので、「よい言葉はよい人間関係を育む」という先生たちの願いが伝わる抜群のセレクションだ。作者や作品の解説、話の概要がわかりやすく書かれているほか、古文・漢文・欧文には現代語訳が付き、理解しやすい。索引は、「明るくのびのびしたいときに」など気持ちの動き別に構成されており、名文・名句をより実感できるため、覚えてみようという気になる。天沼中学校では生徒がいくつ暗誦できたかを披露する「天沼検定」を実施しているが、生徒のみならず保護者も巻き込んで地域に文学ブームを巻き起こしている。
編者メッセージ
「頭の柔らかい中学生は、驚くほど速く名文等を暗唱できるようになります。たとえ今は言葉の意味がわからなくても、頭に残った言葉の数々は年齢を重ねるごとに、人生を味わい深くする教養になります。先人たちの感性と知恵を楽しむことだま百選を、皆さんにおすすめします。」(天沼中学校校長 藤川章先生)
おすすめポイント
『ことだま百選』には、杉並ゆかりの作家たちの名文・名句も選ばれている。『山椒魚』(井伏鱒二)、『君死にたまふことなかれ』(与謝野晶子)、『走れメロス』(太宰治)、天沼中学校近くの天沼小学校の校歌でもある『世界は不思議でいっぱいだ』(谷川俊太郎)など。生徒たちと一緒に、あらためて「ことだま」の輝きに触れてみてはいかがだろうか。