高円寺天祖神社

900年の歴史と、幕末に作られた木造の拝殿がある

東高円寺駅から北へ徒歩3分ほど、杉並第三小学校の北東にある古めかしい高円寺天祖神社(こうえんじてんそじんじゃ)。まだ高円寺が小沢村と呼ばれていた昔から、南は現在の蚕糸の森公園や真盛寺、西は東京メトロ新高円寺駅あたりを含む、周囲約500メートルの産土神(※1)として祀(まつ)られてきた。創立は1087年と伝えられ、信仰深い郷土民、山下久七が伊勢神宮から分霊を受けて安置したとされる。そこから数えるとゆうに900年以上の歴史があることになる。
拝殿は1831年の建立とされ、木造神明造り(※2)の建物が当時のまま残っている。さほど大きくはないが重厚な造りで、正面の上部には龍と鼻を持ち上げた象、透かし彫りの球を持った獅子が彫られている。幣殿(※3)にも彫刻があり、御簾(みす)の奥に小ぶりの龍が施されている。また、参道の狛犬は1921(大正10)年に地元の地主から奉納されたもの。通常狛犬が子供を伴っている場合はどちらか片方だけの場合が多いが、こちらの狛犬は2基とも持っているのが珍しい。
拝殿の向かって左にある境内末社(※4)の清姫稲荷神社は、もともと秩父宮邸の鎮守だったが1936(昭和11)年に縁があって遷座された。当時の崇敬者に株式仲買人が多かったことから財テクの神様とも言われている。

※1 産土神(うぶすながみ):その土地に生まれたものを守護する神
※2 神明造り:神社本殿形式の1つ。伊勢神宮正殿の形式
※3 幣殿(へいでん):参詣人が供物を供えるための建物。本殿と拝殿の間に設けられる
※4 境内末社(けいだいまっしゃ):本社に付属する小社のうち、本社の境内にあるもの

木造神明造りの拝殿

木造神明造りの拝殿

拝殿には凝った木彫りがあしらわれている

拝殿には凝った木彫りがあしらわれている

御祭神
天照大御神(あまてらすおおみかみ)

主な行事 ※日付は毎年固定
1月1日 元旦祭
6月30日 大祓(おおはらい)
9月16日 例大祭
12月31日 大祓

鞠(まり)で遊ぶ子獅子を前足で押さえつける姿(左)と立ち上がった子獅子を抱く姿(右)

鞠(まり)で遊ぶ子獅子を前足で押さえつける姿(左)と立ち上がった子獅子を抱く姿(右)

2つセットで箱に入った「めおとまもり」(左)、御朱印(右)

2つセットで箱に入った「めおとまもり」(左)、御朱印(右)

2023年秋の例大祭

9月15日(金)、16日(土)
16日 14時 例大祭神事
両日ともに18時ごろ~20時までカラオケ大会、縁日祭り

お正月の催し物(2023年12月-2024年1月版)

大晦日の夕刻、半年間のけがれをお祓いする「大祓」が行われ、23時30分頃から、その年に使ったお飾りやお札などを焚きあげる「お焚き上げ」を行う。参拝者には0時より甘酒がふるまわれる(状況次第で中止の場合あり)。

DATA

  • 住所:杉並区高円寺南1-16-19
  • 電話:03-3311-4077
  • 最寄駅: 東高円寺(東京メトロ丸ノ内線) 
  • 取材:千田F子
  • 撮影:千田F子
  • 掲載日:2015年11月09日
  • 情報更新日:2023年12月15日