南阿佐ヶ谷駅より南西へ徒歩約5分、旧成宗村本村の鎮守。社名の成宗須賀神社(なりむねすがじんじゃ)は祭神が同じ素盞嗚尊(すさのおのみこと)である、出雲の須賀社にちなんだもの。江戸時代には、素盞嗚尊は牛頭天王(ごずてんのう)の化身であるという神仏混淆(しんぶつこんこう)の考えにより、「牛頭天王社」と呼ばれていた。
由緒については、安政年間に別当寺(※1)であった宝昌寺が焼失し、記録を失ったため定かでない。近世初期に社殿を造営したとも、あるいは941年に創建され、1599年に再建されたとも伝えられている。江戸時代後期に編まれた『新編武蔵風土記稿』には「字本村に鎮座し、社は二間半に二間、…社から二〇間ばかり離れて鳥居を立つ、例祭は不定、農間に神酒を供す」と、当時の様子が記されている。
1958(昭和33)年、社殿を新築、旧拝殿を神楽殿に改築するなどを経て、現在の景観を整えた。境内末社(※2)として御嶽神社と稲荷神社がある。
夏越と年越の大祓(おおはらい)には境内に置かれた茅の輪をくぐり、半年間の罪、穢(けが)れを祓う。秋の例大祭では子供神輿や山車の巡業、神社の向かいにある都立杉並高校ブラスバンド部の奉納演奏が行われ、2日目の夜には提灯を下げた「万灯神輿」が巡業する。また、節分や、新嘗祭(にいなめさい)の餅つきは多くの参拝客で賑わう。
祭事を通じて人々が集い、地域のコミュニケーションの場として受け継がれる鎮主様である。
※1 別当寺:神仏習合説に基づいて神社に設けられた神宮寺の1つ
※2 境内末社(けいだいまっしゃ):本社に付属する小さい神社のうち境内にあるもの
御祭神
素戔鳴命(すさのおのみこと)
主な行事※日付は毎年固定
1月1日 歳旦祭
上旬 どんど焼き
2月3日 節分祭
初午 初午祭・祈年祭
6月中旬 夏越の大祓
8月最後の土日 例大祭
11月23日 新嘗祭
12月中旬 年越の大祓
元旦にお札などのお焚きあげを行い、参拝者には甘酒や御神酒が振る舞われる。お焚き上げは雨天決行、荒天(強風)中止。
1月12日(日)どんど焼き。
『広辞苑』(岩波書店)