「荻窪白山神社(おぎくぼはくさんじんじゃ)」は通称で、正式名は「白山神社」。荻窪駅西口の北側、その名も「白山通り」を西荻窪方面に2分ほど行くと、一の鳥居と社名碑が右手に現われる。
旧下荻窪村の鎮守であった白山神社の始まりは、社伝によると文明年間(1469-1486年)。関東菅領(かんれい)上杉顕定(うえすぎあきさだ)の家臣、中田加賀守(なかだかがのかみ)が、関東から加賀(石川県)に参るのは遠くて大変なので、加賀の白山比咩(しらやまひめ)神社より屋敷内に分神を移し、祀(まつ)ったといわれる。
言い伝えによれば、中田加賀守の弟がひどい歯痛で困っていると、ある晩に神のお告げがあった。「社前に生えている萩(はぎ)の枝を箸にして食事をすれば、歯痛が治る。」とのお告げに従うと歯痛は回復。以降、歯痛も治る神として人々から信仰され、回復後に萩の箸を奉納する風習が生まれた。1967(昭和42)年の社殿改築の際には、長押(なげし)から萩の箸がたくさん出て氏子たちを驚かせたそうだ。
例大祭では500kg以上ある宮神輿(みやみこし)が7時間以上かけて氏子区域を巡幸する。後半の4時間は、100人の担ぎ手が揃う女みこしとの共演だ。
神職の小俣さんに白山神社の良さを伺うと、「どんなに暑い時でも参道に入ると、気持ちが凛(りん)とします。お参りすると悩んだ気持ちが穏やかになりますよ。」と爽やかに語ってくれた。