西荻窪駅北口から徒歩約8分、骨董通りにギャラリー蚕室(さんしつ)がある。身近にアートを親しんでいただけたらと、あえて住宅地を選んだという。
店名の「蚕室」とは蚕を育てる場所のこと。オーナの小沢典子さんの実家には、使われなくなった蚕室が残っており、古いはた織り機や提灯などが置いてあった。昔ながらの手仕事道具を見て育った小澤さんは武蔵野美術大学で抽象画を学び、メディアアート(※)にひかれてITの仕事についたのち、2013(平成25)年にギャラリーをオープンさせた。
ギャラリー蚕室では、作家と共に展示を作り上げる企画展のみを開催。抽象画など難しいと思われがちな作品なども、説明や写真などを添えて紹介している。展示作品は、美術・工芸という分類ではなく、ギャラリー側がノンジャンルに選び企画している。異なるジャンルを交えたグループ企画もまた特徴となっている。
「忙しい人、疲れている人にこそアートが必要。」と展示期間には必ず週末が2回入っている。訪ねれば新しい発見や感動があり、心を動かされるお気に入りの作品を見つけられるだろう。
※メディアアート:デジタル映像など新たな技術によって生み出される芸術