荻窪駅南口を出て、静かな住宅街を歩くこと10分弱。目の前にぽっかりと芝生の広場が広がる。杉並区立読書の森公園の公園の特徴は、なんといっても区立中央図書館のすぐ隣にあり、緑に触れながら読書が楽しめるところだ。2002(平成14)年に区民の方から寄贈された土地を図書館の敷地と一緒に整備し、2006(平成18)年3月25日に区立公園として開園した。
芝生広場は荻窪の原風景をしのばせるようななだらかな丘になっており、それを囲むように読書向きのベンチが置かれている。涼しげな池のほとりにあるあずまやも、くつろいで本を読むのにぴったりだ。広場から図書館へと続く木陰の小道には、等身大のガンジー像がたたずむ。この像は杉並区とゆかりのあるインドの慈善団体から寄付されたもので、像の横にはガンジーの言葉を記した石碑もある。また、小道の奥には竹林が広がり、竹と竹の間から差し込む木漏れ日と流れてくる風の心地よさに、ここが街中であることを忘れそうになる。
芝生広場には本型のモニュメントが点在し、図書館のそばにある公園らしい雰囲気が感じられる。谷川俊太郎の詩集『ことばあそびうた』や石井桃子の絵本『ちいさなねこ』、北原白秋の訳詩集『まざあ・ぐうすの歌』といった杉並区ゆかりの作家たちの作品が記されている。探してみると楽しいだろう。
また季節によってさまざまな表情を見せる園内の自然も見どころの1つ。シンボルツリーのケヤキのほか、開園時には幼かった木々もしっかりと成長し、生き生きとした緑が目を楽しませてくれる。芝生広場脇の花壇では、アンネのバラが春と秋に花を咲かせる。これは『アンネの日記』の作者アンネ・フランクの父親から杉並区立高井戸中学校に贈られたバラを株分けしたものだ。
遊具はないが、芝生広場で読書をしたり、あずまやから景色を眺めたり、ベンチでサンドウィッチをほお張ったり、思い思いに過ごせる街のオアシス的な公園である。お気に入りの場所を見つけてみよう。